DOE採用銘柄一覧|DOE5%以上・累進配当の日本株を水準別に整理
配当の安定性を重視する投資家の間で、DOE(株主資本配当率)を配当方針に掲げる企業が注目されています。利益に連動する配当性向と違い、DOEは株主資本を基準にするため、業績が一時的に落ち込んでも配当がぶれにくい設計になりやすいからです。
この記事では、当ブログで決算や事業を分析した企業のうち、会社の開示資料でDOEまたは累進配当を配当方針として明示している22社を、DOEの水準別に整理しました。各社の方針は、有価証券報告書の「配当政策」や決算説明資料などで確認しています。
本記事の掲載基準:有価証券報告書・決算説明資料・中期経営計画などの会社開示資料で、DOE(株主資本配当率・自己資本配当率・純資産配当率など)または累進配当を配当方針として明示している企業を掲載しています。配当方針は2026年11月3日時点で確認しました。
DOE採用・累進配当銘柄一覧
まず、掲載22社の全体像です。DOEの数字は会社が示す基準値で、「下限」「以上」「目安」「目標」のどれに当たるかは企業によって異なります。詳しい方針と各社の解説記事は、後半の水準別の章で紹介しています。
| 企業名(コード) | DOEの基準 | 累進配当 |
|---|---|---|
| ユーラシア旅行社(9376) | 10%以上(目標) | ― |
| デクセリアルズ(4980) | 7%以上 | ― |
| 日本高純度化学(4973) | 5%(下限) | ― |
| ティラド(7236) | 5%以上 | ○ |
| 東海カーボン(5301) | 調整後DOE5%(目安) | ○ |
| フィードフォースグループ(7068) | 5%(目安) | ― |
| コーセル(6905) | 4.5%(下限) | ○ |
| 第一実業(8059) | 4.0% | ― |
| イチケン(1847) | 4%程度 | ― |
| デンソー(6902) | 2030年度に4.0%以上(目標) | ― |
| アジアパイルホールディングス(5288) | 3.75%以上 | ○ |
| 太陽誘電(6976) | 3.5%(目標) | ― |
| ニッポン高度紙工業(3891) | 3%(下限) | ― |
| アイサンテクノロジー(4667) | 3%前後(目標) | ○ |
| 日本シイエムケイ(6958) | 3%(目安) | ― |
| 北陸電気工事(1930) | 3.0%(目標) | ― |
| ジェコス(9991) | 2.5%以上 | ― |
| 日本フイルコン(5942) | 2.4%以上 | ― |
| アーレスティ(5852) | 1.5%(下限) | ― |
| クラフティア(1959) | ― | ○ |
| 日本プロセス(9651) | ― | ○ |
| プラップジャパン(2449) | ― | ○ |
出典:各社の有価証券報告書「配当政策」、決算説明資料、会社IRページ(確認日 2026-11-03)。DOEの名称(株主資本配当率・自己資本配当率・純資産配当率)と計算の基準は企業ごとに異なります。
表を見ると、DOE5%以上を掲げる企業が6社ある一方、DOE1.5%を下限とする企業もあり、同じ「DOE採用」でも、DOEの水準だけでなく、「下限」「目安」「目標」といった方針の位置づけにも違いがあります。また、DOEと累進配当を両方掲げる企業は5社でした。
DOEとは|配当性向との違い
DOE(Dividend on Equity)は、株主資本に対してどれだけ配当を出しているかを示す指標です。計算式は次のとおりです。
DOE = 年間配当総額 ÷ 株主資本 × 100
なお、実際のDOEの計算では、期首と期末の平均の株主資本を使う企業や、期末の株主資本を使う企業など、定義が企業ごとに異なります。正確な数字は各社の開示資料で確認する必要があります。
よく使われる配当性向は、その年の純利益のうち何%を配当に回したかを示します。そのため、利益が大きく減ると、配当性向を守るだけで配当額も下がります。
一方、DOEの分母の株主資本は、毎年の利益の積み上げで少しずつ変わる数字です。単年度の利益が落ち込んでも急には減らないため、DOEを基準にした配当は業績の波を受けにくいという特徴があります。
| 指標 | 計算の基準 | 配当額の動き方 |
|---|---|---|
| 配当性向 | その年の純利益 | 利益に連動して増減しやすい |
| DOE | 株主資本・自己資本など | 株主資本の増加に合わせて緩やかに動く |
ただし、株主資本は赤字が続けば減ります。DOEも「配当が絶対に減らない」仕組みではない点は押さえておく必要があります。
累進配当とは|DOEと組み合わせる意味
累進配当は、前の年の1株当たり配当を下回らないように、維持または増配を続ける方針です。たとえばクラフティアは「維持又は増配を行う累進配当」と明記しています。
累進配当の定義は会社によって少しずつ違います。適用期間を区切る企業もあり、アジアパイルホールディングスは5か年計画の期間中、日本プロセスは今の中期経営計画の期間中を累進配当としています。ティラドは2026年度以降の方針としています。
DOEと累進配当を両方掲げると、DOEで配当水準の基準を設けながら、累進配当によって原則として維持または増配を目指す形になります。ティラド、東海カーボン、コーセル、アジアパイルホールディングス、アイサンテクノロジーがこの組み合わせです。
DOE採用銘柄を水準別に見る
ここからは、DOEの水準ごとに各社の配当方針を見ていきます。「下限」は現在の配当方針で最低水準として示されている数字、「目安」「目標」は達成を目指す水準で、方針としての位置づけは同じではありません。
なお、この章の区分は実績のDOEではなく、会社が掲げる下限・目安・将来の目標などの水準で分けています。
DOE5%以上
| 企業名 | 配当方針の要点 | 確認資料 |
|---|---|---|
| ユーラシア旅行社 | 翌期の配当を当期末株主資本の10%以上とすることを目標 | 有価証券報告書 |
| デクセリアルズ | 配当性向40%を目途に、DOE7%以上を満たす配当。中期経営計画期間の総還元性向60%目途 | 有価証券報告書(2026年3月期) |
| 日本高純度化学 | DOE(自己資本配当率)5%を下限 | 有価証券報告書(2026年3月期) |
| ティラド | DOE5%以上・配当性向50%以上、2026年度以降は累進配当 | 有価証券報告書(2026年3月期) |
| 東海カーボン | 配当性向40%程度、または前期末株主資本を基準とする調整後DOE5%の高い方。累進配当 | 会社IRページ |
| フィードフォースグループ | DOE(純資産配当率)年5%を目安 | 有価証券報告書(2026年5月期) |
DOE5%以上の6社は、今回掲載した企業の中で、DOEの数値の水準が高いグループです。なかでも日本高純度化学は5%を「下限」と明記しており、最低限の配当水準がはっきりしています。東海カーボンとティラドは、DOEに加えて累進配当も掲げています。
ユーラシア旅行社のDOE10%以上は、今回の掲載企業で最も高い目標です。ただし、DOEが高い理由は企業ごとに違います。株主資本が小さい企業ほど、同じ配当額でもDOEは高くなる点も合わせて見る必要があります。
DOE4〜4.5%
| 企業名 | 配当方針の要点 | 確認資料 |
|---|---|---|
| コーセル | DOEの下限を3.5%から4.5%に引き上げ(2027年5月期から)。DOE下限を基準に継続的・安定的に配当 | 有価証券報告書(2026年5月期)、2026年6月19日の適時開示 |
| 第一実業 | 配当性向40%またはDOE4.0%のいずれか高い方を基準 | 有価証券報告書(2026年3月期) |
| イチケン | 配当性向40%程度またはDOE4%程度(中期経営計画2026〜2028年度) | 2026年3月期 決算説明会資料 |
| デンソー | DOEを株主還元の指標とし、2030年度に4.0%以上を目指す(2026年3月期は3.5%) | 有価証券報告書(2026年3月期) |
第一実業は、配当性向とDOEのいずれか高い方を基準にする方式です。イチケンも、配当性向40%程度またはDOE4%程度を株主還元の目標に掲げています。配当性向とDOEを併用すると、利益が伸びたときの還元と、単年度の利益の変動を受けにくい配当を両立しやすくなります。
コーセルは2026年6月にDOEの下限を1%引き上げました。業績が赤字の時期でも配当方針を強めた点は、還元姿勢を見るうえで注目できます。
DOE3〜3.75%
| 企業名 | 配当方針の要点 | 確認資料 |
|---|---|---|
| アジアパイルホールディングス | DOE3.75%以上を目途、5か年計画期間中は累進配当 | 有価証券報告書(2026年3月期) |
| 太陽誘電 | DOE3.5%・配当性向30%を目標 | 有価証券報告書(2026年3月期) |
| ニッポン高度紙工業 | 配当性向40%を目標、DOE3%を下限 | 有価証券報告書(2026年3月期) |
| アイサンテクノロジー | 当面はDOE3%前後を目標、累進的な配当 | 有価証券報告書(2026年3月期) |
| 日本シイエムケイ | DOE3%を目安(2027年3月期から採用)。従来は配当性向30%程度 | 有価証券報告書(2026年3月期) |
| 北陸電気工事 | 中期経営計画でDOEの目標を3.0%に設定 | 有価証券報告書(2026年3月期) |
今回掲載したDOE採用企業では、3%台を掲げる企業が比較的多くなっています。ニッポン高度紙工業は3%を「下限」としており、配当性向40%と組み合わせて最低ラインを設けています。
日本シイエムケイは、利益を基準とする配当性向から、株主資本を基準とするDOEへ配当の指標を変更した点が特徴です。
DOE3%未満
| 企業名 | 配当方針の要点 | 確認資料 |
|---|---|---|
| ジェコス | 配当性向40%程度、DOE2.5%以上(中期経営計画2025〜2027年度) | 有価証券報告書(2026年3月期) |
| 日本フイルコン | 連結配当性向30%以上、かつDOE2.4%以上を目途 | 有価証券報告書 |
| アーレスティ | 配当性向35%以上を目安、DOE1.5%を配当下限として新たに導入 | 有価証券報告書(2026年3月期) |
この3社は、配当性向を主な基準にしつつ、DOEを下支えに使う形です。アーレスティは、DOE1.5%を現在の配当方針上の「下限」として設定しています。
累進配当を掲げる銘柄|DOEの数値基準を設けていない企業
| 企業名 | 配当方針の要点 | 確認資料 |
|---|---|---|
| クラフティア | 維持または増配を行う累進配当、連結配当性向40%を目安 | 有価証券報告書(2026年3月期) |
| 日本プロセス | 今の中期経営計画期間は累進配当、連結配当性向66%を目標。2029年5月期まで毎期8円の特別配当を予定 | 有価証券報告書(2026年5月期) |
| プラップジャパン | 累進配当の継続を前提に配当を実施 | 有価証券報告書 |
この3社は、DOEの数字は示していないものの、前年の配当を下回らない方針を明記しています。日本プロセスは、累進配当に加えて、2029年5月期まで毎期8円の特別配当を予定している点が特徴です。
DOEが高ければ良い銘柄なのか
結論から言うと、DOEが高いことと、投資先として優れていることは別の話です。
理由の一つは、DOEと配当利回りが一致しないことです。配当利回りは株価に対する配当の割合です。DOEとPBRの計算に使う株主資本の基準をそろえて考えると、概念上は次の関係になります。
配当利回り ≒ DOE ÷ PBR(株価純資産倍率)
単純化して考えると、DOE5%でもPBRが2.5倍なら配当利回りはおおむね2%です。反対に、DOE3%でもPBRが0.6倍なら、おおむね5%に相当します。DOEが高くても、PBRが高ければ、今の株価に対する配当利回りは低くなる場合があります。
もう一つは、DOEの高さは株主資本の大きさにも左右されることです。自社株買いを続けて株主資本が小さくなれば、同じ配当額でもDOEは上がります。DOEの数字だけでなく、その配当を利益とキャッシュフローで賄えているかを、決算で確認することが大切です。
DOE採用銘柄の調べ方
DOEや累進配当の方針は、次の資料で確認できます。この記事の一覧も、この方法で確認しました。
- 有価証券報告書の「配当政策」:配当方針が文章で書かれています。DOEや配当性向の数字、「下限」「目安」などの表現をそのまま確認できます。
- 適時開示の「配当方針の変更に関するお知らせ」:方針を変えた企業は、このタイトルで開示します。有価証券報告書より新しい情報なので、直近1〜2年分を確認します。コーセルのDOE引き上げも、この開示で発表されました。
- 決算説明資料・中期経営計画:株主還元の目標が数字で示されていることが多い資料です。イチケンのように、中期経営計画でDOEを掲げる企業もあります。
証券会社のスクリーニング機能でもDOEで絞り込めますが、方針の細かい条件(下限か目安か、累進配当の期間など)までは分かりません。気になる企業については、最終的に会社の開示資料で確認することが重要です。
DOE・累進配当銘柄を見るときの注意点
DOEや累進配当は配当の安定性を高める仕組みですが、将来の配当を保証するものではありません。
- 方針は変更されることがあります。 業績や財務の状況によって、DOEの水準や累進配当の方針が見直される可能性があります。
- 「下限」「目安」「目標」の違いに注意が必要です。 下限は現在の方針上の最低水準、目安や目標は目指す水準です。
- 期間を区切った方針があります。 中期経営計画の期間中だけの累進配当や、特定の年度から適用する方針もあります。
- 株主資本が減ればDOE基準の配当も減ります。 赤字が続いて株主資本が減ると、DOEを守っても配当額は下がります。
配当の持続性を判断するには、配当方針と合わせて、利益の推移・キャッシュフロー・財務の健全性を確認することが欠かせません。各社の業績は、水準別の章で紹介した記事で解説しています。
まとめ
DOEは株主資本を基準に配当を決める指標で、利益に連動する配当性向より配当がぶれにくいのが特徴です。今回整理した22社では、DOE5%以上を掲げる企業が6社あり、DOEと累進配当を組み合わせる企業も5社ありました。
ただし、DOEの高さは配当利回りの高さとは一致せず、方針も将来変わる可能性があります。気になる企業は、配当方針だけでなく決算の中身まで確認して判断することが大切です。
この記事は、当ブログで新たにDOE・累進配当を掲げる企業を分析した際に追記していきます。
本記事は投資判断を推奨するものではありません。
最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
