【クラフティア(1959)】増配を支える利益成長は続く?工事採算と受注残から検証

my-next-goal-is-fire
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

この記事にはアフィリエイト広告が含まれています。

クラフティアの2027年3月期中間期(2026年4~9月)は、売上高が前年同期比5.2%増、営業利益が25.6%増となりました。通期の営業利益予想を555億円から610億円へ引き上げ、年間配当予想も220円から240円へ増額しています。

今回の増配を読むうえで大切なのは、工事の量だけでなく、どれだけ利益を残せるようになったかです。増益の中心は工事採算の改善ですが、その先の売上を支える受注残には部門ごとの差があります。

この記事で分かること
  • 売上の伸び以上に営業利益が増えた理由
  • 空調管工事の受注残と、太陽光工事で異なる先行き
  • 年間240円配当を支える利益予想と、宇久島事業の不確実性
スポンサーリンク

増配の裏付けは、工事の利益率改善

中間期は工事の売上増に加え、工事利益率の改善が利益を押し上げました。増配の根拠を考えるなら、純利益の42.9%増だけでなく、本業である工事の採算がどの程度良くなったかを先に押さえたいところです。

項目前年中間期今回の中間期前年同期比
売上高2,077億25百万円2,185億44百万円5.2%増
売上総利益388億26百万円455億57百万円当方計算17.3%増
販管費160億21百万円169億4百万円当方計算5.5%増
営業利益228億4百万円286億52百万円25.6%増
経常利益241億78百万円313億12百万円29.5%増
親会社株主に帰属する中間純利益149億37百万円213億44百万円42.9%増

完成工事高は1,988億63百万円から2,088億11百万円へ約99億円増えました。一方、完成工事原価の増加は約29億円に抑えられ、完成工事総利益は約71億円増加しています。工事の粗利益率は当方計算で18.2%から20.7%へ約2.5ポイント改善しました。

その他事業の粗利益は約3億49百万円減りましたが、工事の改善がこれを吸収しています。全体の粗利益の増加67億31百万円から販管費の増加8億83百万円を差し引くと、営業増益58億48百万円と一致します。販売費を絞った増益ではなく、工事で生み出す利益の増加が費用増を上回ったと読めます。

会社は、物価上昇分の価格転嫁と施工体制を踏まえた戦略的受注を進め、大型案件の進捗と工事利益率の向上が増益につながったと説明しています。ただし、価格転嫁、案件構成、施工効率それぞれの利益寄与額は示されていません。原価抑制の全額を一つの施策の効果と決めつけず、採算改善という確認済みの結果を評価します。

今回の増配を読む入口は、売上の規模だけでなく工事の利益率です。粗利益と営業利益の違いを押さえておくと、原価や販管費の変化がどこへ効いたのかを追いやすくなります。 用語を自分でも確認・復習したい方には、辞典での検索と反復学習ができる「ファイ単」という選択肢があります。会員登録後にアプリを取得して利用するサービスです。

受注残は5,456億円、空調管工事が次の売上を支える

受注残が増えていることは今後の仕事量を支える材料ですが、全部門が同じ方向へ伸びているわけではありません。中間期の連結工事受注高は2,784億5百万円で1.1%増、期末手持工事高は5,456億43百万円で前年同期末比2.8%増となりました。

連結の工事部門今回の売上高前年同期比今回の受注高前年同期比期末手持工事高
配電線297億39百万円16.0%増295億16百万円5.9%増45億37百万円
屋内線1,102億18百万円12.2%増1,458億29百万円7.5%減3,492億98百万円
空調管688億52百万円8.1%減1,030億58百万円14.9%増1,918億7百万円

空調管工事では、足元の売上は減ったものの、受注と受注残は増えています。手持工事高は前年同期末比8.9%増であり、将来の工事進捗に伴う売上を支える方向です。一方、屋内線は売上が伸びた反面、新規受注は減少し、手持工事高の伸びは0.4%にとどまりました。足元の増収率を、そのまま先の期間へ延長する読み方には注意が要ります。

補足資料を読むと、さらに違いが見えてきます。太陽光を分けた電気工事の手持工事高は2,807億46百万円、空調衛生は1,918億1百万円へ増える一方、太陽光は952億80百万円から685億57百万円へ減りました。受注残全体の増加だけでなく、どの工事が売上へ変わるかを確認する意味はここにあります。

一般民間会社向けの受注も、前年中間期の2,294億72百万円から2,271億93百万円へ小幅減少しました。電力グループや官公庁の増加が支えていますが、すべての顧客層で需要が加速している状況とは異なります。

受注済みの案件でも、施工人員や外注体制が確保できなければ売上化は遅れます。価格転嫁を進めて受けた仕事を予定どおり施工し、その間の労務費・資材費の上昇を吸収できることが、利益成長を続ける条件です。工事量の拡大と採算の維持を両方満たせるかで、受注残の意味は変わります。

売上計画は据え置き、必要な下期利益は前年比で約1.7%増

通期項目修正前予想修正後予想前期実績
売上高5,000億円5,000億円4,761億23百万円
営業利益555億円610億円546億円
経常利益590億円650億円581億57百万円
親会社株主に帰属する当期純利益405億円425億円400億53百万円
1株当たり当期純利益572.54円600.78円566.25円

売上予想を動かさずに営業利益を55億円増額したことは、会社が工事採算の改善を通期に織り込んだことを示します。修正後の通期営業利益率は当方計算で12.2%となり、前期実績の約11.5%を上回る計画です。

中間期営業利益の通期予想に対する進捗は47.0%です。前年中間期の営業利益を前期通期実績で割った41.8%より進んでいます。さらに、今回の予想達成に必要な下期営業利益は323億48百万円。前年下期実績317億96百万円に対して約1.7%増であり、上期の25.6%増を下期も繰り返さなければ届かない計画ではありません。以上は開示数値からの当方計算です。

これは達成に向けた余地を示す材料ですが、追加上方修正の予測とは分けます。下期には上期より多い約2,814億円の売上が必要で、施工の進捗が伴うことが前提です。受注残が多くても、工事の遅れや採算の悪化があれば、利益計画の見方を変える必要があります。

年間240円へ増配、宇久島の見通しは別に残る

1株当たり配当前期実績修正前予想今回の決定・予想
中間90円110円120円・決定
期末130円110円120円・予想
年間220円220円240円・予想

年間配当は前期比20円増、期初予想からも20円増です。予想EPS600.78円に対する配当性向は当方計算で約39.9%となり、会社が目安とする連結配当性向40%に沿っています。会社は維持または増配を行う累進配当を基本方針としていますが、期末配当は予想であり確定額ではありません。

財務面では自己資本比率が前期末66.4%から69.7%へ上昇しました。一方、政策や投資先の動きも含めたリスクとして、宇久島メガソーラー事業の経過は分けて見ておきたいところです。

今回の短信では、海域の占用許可の取得手続きを継続しつつ、発電事業者がFITからFIPへの移行、蓄電池併設、PPAによる長期電力販売を検討すると説明されています。運転開始は現時点で2029年度中が目標で、具体的な時期は未確定です。

長期の電力販売に向けた仕組みを整えることと、すでに利益を生んでいることは別です。許認可、追加投資、売電条件が定まらない段階で、新しい事業方式を今回の増益や配当の直接的な裏付けにはできません。工事本業の採算改善を評価しながら、宇久島については事業条件と資金負担が具体化するまで不確実性を残します。

増配という結果だけでなく、工事の採算、受注残を売上へ変える条件、未確定事業の負担まで合わせて判断したい内容でした。 銘柄選びの基本や売買タイミング、リスク管理も学びたい方は、ファイナンシャルアカデミーの株式投資スクールの無料体験を確認できます。

まとめ

クラフティアの増配を支えているのは、売上の増加に加え、完成工事の粗利益率が約2.5ポイント改善したことです。営業利益予想610億円、年間配当予想240円への引き上げにも、その改善が反映されました。

今後も利益成長が続くかは、空調管工事などの受注残を売上に変えながら、価格転嫁と施工採算を維持できるかで判断します。屋内線の受注減や太陽光の受注残減少、宇久島事業の条件未確定も残っており、足元の増益を全事業へ広げずに見ることが大切です。

本記事は公開資料を基にした情報整理であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

ABOUT ME
双樹
双樹
保全士・制御系エンジニア
FIREを目指して株式投資に挑戦し、学びをブログで発信中。

学生時代に取得した機械保全技能検定と第二種電気工事士を活かし、リーマンショック期に保全職として就職。
アベノミクス期に装置メーカーへ転職し制御設計を経験。
コロナ禍では工場勤務に転職し機械や設備の保守・点検やシステム導入に携わっています。

資格
●機械保全技能検定(電気系保全作業)
●第二種電気工事士
●エネルギー管理士
●2級ボイラー技士
●乙種第4類危険物取扱者
スポンサーリンク
記事URLをコピーしました