【SWCC(5805)】AIデータセンター需要と配当311円を検証|営業利益80%増で上方修正
SWCC(5805)の2027年3月期第1四半期は、売上高776.6億円、営業利益86.6億円となり、営業利益は前年同期比80.4%増加しました。電力インフラに加え、米国のAIデータセンター向け光ファイバーケーブル、AI半導体向け部品がそろって伸びています。
さらに会社は通期業績予想を上方修正し、年間配当予想も250円から311円へ引き上げました。今回の決算が強い理由と、今後確認すべきポイントを整理します。

売上高24.9%増、営業利益80.4%増!2027年3月期第1四半期決算を解説
SWCCは、電線・ケーブル、電力機器部品、光ファイバーケーブル、半導体検査装置向け部品などを手がける企業です。旧社名は昭和電線ホールディングスで、2023年に事業会社を統合し、現在の社名へ変更しました。
事業の柱は、電力網の更新需要を取り込む「エネルギー・インフラ事業」と、データセンターや半導体市場に関わる「通信・コンポーネンツ事業」です。国内インフラとAI関連の両方を成長テーマとして持つ点が特徴といえます。
| 項目 | 前年同期 | 2027年3月期1Q | 前年同期比 |
| 売上高 | 621.6億円 | 776.6億円 | +24.9% |
| 営業利益 | 48.0億円 | 86.6億円 | +80.4% |
| 経常利益 | 47.9億円 | 86.7億円 | +80.7% |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 29.7億円 | 57.1億円 | +92.2% |
| 営業利益率 | 7.7% | 11.1% | +3.4ポイント |
| 1株当たり四半期純利益 | 100.42円 | 192.74円 | — |
結論として、売上の増加率を利益の伸びが大幅に上回る好決算です。売上総利益率は前年同期の16.9%から18.7%へ改善し、営業利益率も11.1%まで上昇しました。
売上高には銅価格上昇の影響も含まれます。しかし、利益率が改善しているため、今回の増益を銅価格だけで説明するのは適切ではありません。戦略製品の増産、価格適正化、業務効率化が利益成長につながっています。
営業利益80%増を支えた3つの要因
電力インフラ向けSICONEXが好調
国内では、変電設備の老朽化更新や送配電網の強靱化に向けた投資が継続しています。SWCCは、電力ケーブル用コネクター「SICONEX」の増産と施工人材の強化を進め、旺盛な需要を取り込みました。
建設関連でも、銅や材料価格の上昇を踏まえた販売価格の適正化と、DXによる業務効率化が収益性の改善に寄与しています。
米国AIデータセンター向けe-Ribbonが拡大
通信ケーブルでは、細径・高密度の光ファイバーケーブル「e-Ribbon」の増産効果が表れました。米国データセンター向け需要が旺盛で、通信・コンポーネンツ事業の増収増益を押し上げています。
生成AIの普及には大規模なデータ通信設備が必要です。そのためSWCCは、データセンターの電力供給だけでなく、光通信網の整備からも需要を取り込める立場にあります。
AI半導体向けプローブピンが伸長
半導体関連では、検査装置向けプローブピンの需要が大きく伸びました。会社は、中国向けを含めて期初計画を大幅に上回る受注を見込んでいます。
AI半導体の生産量が増えれば、製造工程で使用される検査部品の需要も拡大します。データセンター向け光ケーブルと半導体検査部品の二つが、AI関連の成長ドライバーになっています。
全社利益の柱はエネルギー・インフラ事業
| セグメント | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 | 利益率 |
| エネルギー・インフラ | 335.8億円 | +22.8% | 60.7億円 | +77.2% | 18.1% |
| 通信・コンポーネンツ | 418.9億円 | +27.2% | 26.1億円 | +86.0% | 6.2% |
| その他 | 21.9億円 | +16.9% | 5.0億円 | +396.6% | 23.0% |
最大の利益源はエネルギー・インフラ事業です。同事業の利益率は前年同期の12.5%から18.1%へ大きく改善しました。
通信・コンポーネンツ事業も利益率が4.3%から6.2%へ上昇しています。AI関連需要は話題性がありますが、現時点の全社利益を支えているのは電力インフラ事業である点を押さえておく必要があります。
通期業績予想・配当を確認
上方修正後の通期計画に対する営業利益進捗率は26.2%
| 項目 | 1Q実績 | 修正後通期予想 | 進捗率 |
| 売上高 | 776.6億円 | 3,300.0億円 | 23.5% |
| 営業利益 | 86.6億円 | 330.0億円 | 26.2% |
| 経常利益 | 86.7億円 | 322.0億円 | 26.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 57.1億円 | 230.0億円 | 24.8% |
第1四半期終了時点で、営業利益と経常利益の進捗率は26%台です。単純な四半期均等進捗の25%を上回っています。
ただし、会社は第1四半期の上振れを踏まえて通期予想も引き上げました。したがって「進捗率が高いから再上方修正が確実」とまではいえません。第2四半期以降も利益率を維持できるかが重要です。
通期営業利益予想を330億円へ上方修正
| 項目 | 期初予想 | 修正後予想 | 修正率 | 前期比 |
| 売上高 | 3,250億円 | 3,300億円 | +1.5% | +18.8% |
| 営業利益 | 285億円 | 330億円 | +15.8% | +20.8% |
| 経常利益 | 279億円 | 322億円 | +15.4% | +23.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 185億円 | 230億円 | +24.3% | +22.1% |
売上高の修正は1.5%にとどまる一方、営業利益は15.8%、純利益は24.3%引き上げられました。つまり今回の上方修正は、売上規模よりも収益性の改善が中心です。
修正後の通期営業利益率は10.0%となり、期初計画の8.8%を上回ります。SICONEX、e-Ribbon、プローブピンの好調が継続すれば、前期の営業利益率9.8%も上回る計画です。
配当予想は年間311円へ増額
| 年度・予想 | 中間配当 | 期末配当 | 年間配当 |
| 2026年3月期実績 | 90円 | 133円 | 223円 |
| 2027年3月期・期初予想 | 110円 | 140円 | 250円 |
| 2027年3月期・修正後予想 | 140円 | 171円 | 311円 |
中間配当は期初予想から30円、期末配当は31円増額されました。年間配当は250円から311円へ61円増え、前期実績223円と比べると88円の増配予想です。
業績上方修正を株主還元へ反映している点は評価できます。一方、配当利回りは株価によって変動するため、投資判断時点の株価で改めて計算してください。
今後の注目ポイント
増加した在庫と売上債権がキャッシュへ変わるか
第1四半期末の総資産は2,204.0億円、純資産は1,099.1億円でした。自己資本比率は前期末の47.6%から45.9%へ低下したものの、会社が示すDEレシオは45.6%であり、直ちに財務不安を示す水準ではありません。
一方、棚卸資産は合計342.9億円から375.8億円へ増加しました。売上債権も増えており、コマーシャル・ペーパー50億円を新たに計上しています。旺盛な需要への対応とみられますが、今後は在庫が売上とキャッシュに転化するかを確認する必要があります。
なお、第1四半期はキャッシュ・フロー計算書が作成されていないため、営業キャッシュフローの評価は中間決算で行うのが適切です。
銅価格・AI投資・供給能力が利益率を左右する
銅価格の変動
銅価格上昇は売上高を押し上げますが、原材料価格の急変時には価格転嫁との時間差が利益率を圧迫する可能性があります。売上高だけでなく、営業利益率の推移が重要です。
AI・データセンター投資の反動
e-Ribbonとプローブピンは高成長ですが、データセンターや半導体の設備投資には波があります。受注増加が一時的な前倒し需要ではないかを確認する必要があります。
設備増強と施工人材
電力インフラ需要を取り込むには、SICONEXの生産能力だけでなく施工人材の確保も欠かせません。需要が強くても供給能力が追いつかなければ、売上計上が遅れる可能性があります。
海外事業と政策環境
米国向け通信需要や中国向け半導体需要は、為替、輸出規制、各国の通商政策の影響を受けます。地政学リスクも継続的な確認事項です。
次回決算では主力製品の利益率と受注の売上転化を確認
今後は、エネルギー・インフラ事業が18%台の利益率を維持できるか、SICONEXの増産効果と施工能力が計画どおり拡大するかを確認する必要があります。米国データセンター向けe-Ribbonの需要継続や、中国向けを含むプローブピン受注の売上転化も焦点です。さらに、増加した棚卸資産と売上債権がキャッシュへ変わるか、中間決算で通期計画に対する進捗が一段と上振れるかが重要な判断材料になります。
まとめ
SWCCの2027年3月期第1四半期は、売上高24.9%増、営業利益80.4%増、純利益92.2%増となる力強い決算でした。電力インフラの更新需要に加え、米国AIデータセンター向けe-RibbonとAI半導体向けプローブピンが成長をけん引しています。
会社は通期営業利益予想を285億円から330億円へ引き上げ、年間配当予想も250円から311円へ増額しました。売上高以上に利益予想を引き上げており、今回の決算は収益性改善の質が高い内容です。
今後は、電力インフラ事業の高い利益率を維持できるか、AI関連需要が継続するか、増加した運転資金を回収できるかが焦点となります。好決算であることは明確ですが、上方修正後の高い計画を継続して達成できるかまで確認することが大切です。
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