【サンコール(5985)】減収減益でも通期上方修正|データセンター需要と配当35円を検証
サンコール(5985)の2027年3月期第1四半期は、売上高132.9億円、営業利益18.8億円となり、前年同期比で減収減益でした。しかし、会社は同時に通期業績を上方修正し、年間配当も35円へ増額しています。四半期の減益だけで弱い決算と判断できない内容です。

売上高13.8%減、営業利益23.4%減!2027年3月期第1四半期決算を解説
| 項目 | 前年同期 | 2027年3月期1Q | 前年同期比 |
| 売上高 | 154.1億円 | 132.9億円 | -13.8% |
| 営業利益 | 24.5億円 | 18.8億円 | -23.4% |
| 経常利益 | 23.4億円 | 19.2億円 | -17.8% |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 19.5億円 | 14.9億円 | -23.4% |
| 営業利益率 | 15.9% | 14.1% | -1.8ポイント |
表面上は減収減益ですが、最大の要因は前年にHDD用サスペンション事業の売上35.97億円があったことです。同事業は2025年7月に生産・出荷を終えており、今期は売上がゼロになりました。継続事業の失速だけで13.8%減収になったわけではありません。
営業利益率は14.1%と依然高いものの、前年同期より低下しました。撤退事業の利益剥落に加え、北米子会社の収益性悪化が重荷になっています。
データセンター向け通信関連が42.7%増
今回の決算で最も注目したいのは、光通信用コネクタ・アダプタを中心とする通信関連です。売上高は26.26億円となり、前年同期比42.7%増加しました。生成AIの普及に伴うデータセンター投資が、アジアでの販売を押し上げています。
一方、自動車分野は材料関連製品が27.8%増、自動車関連製品が4.4%増となり、合計では9.3%増でした。HDD用サスペンションを除けば、成長製品は着実に伸びています。
| 製品区分 | 売上高 | 前年同期比 | 評価 |
| 材料関連製品 | 23.87億円 | +27.8% | 主要顧客の受注増 |
| 自動車関連製品 | 72.98億円 | +4.4% | バスバー・LED関連が増加 |
| HDD用サスペンション | 0円 | -100.0% | 事業撤退済み |
| プリンター関連 | 8.17億円 | -15.6% | 需要減少 |
| 通信関連 | 26.26億円 | +42.7% | データセンター需要が拡大 |
地域別では、アジアのセグメント利益が14.85億円で33.6%増となりました。対照的に、日本はHDD用サスペンション撤退の影響で58.2%減益、北米は収益性悪化により85.5%減益です。今後の利益成長は、アジアの通信関連が日本・北米の落ち込みをどこまで補えるかに左右されます。
通期営業利益予想を85億円へ上方修正
| 項目 | 修正後通期予想 | 前期比 | 1Q進捗率 |
| 売上高 | 560億円 | +7.2% | 23.7% |
| 営業利益 | 85億円 | +19.3% | 22.1% |
| 経常利益 | 85億円 | +13.6% | 22.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 63億円 | +1.5% | 23.7% |
会社は第1四半期の減益発表と同時に、通期営業利益と経常利益を85億円へ上方修正しました。経常利益は従来予想56億円から51.8%引き上げられています。第1四半期の進捗率は22%台ですが、会社は成長製品の販売拡大を踏まえ、通期では増収増益を見込みました。
ただし、上方修正後の計画を達成するには、第2四半期以降に営業利益66.2億円が必要です。通信関連の増勢継続に加え、日本と北米の収益改善が欠かせません。
配当予想は年間35円へ増額
| 年度 | 中間配当 | 期末配当 | 年間配当 |
| 2026年3月期実績 | 5円 | 15円 | 20円 |
| 2027年3月期・期初予想 | 15円 | 15円 | 30円 |
| 2027年3月期・修正後予想 | 20円 | 15円 | 35円 |
業績予想の引き上げに伴い、中間配当は15円から20円へ増額されました。年間配当は35円となり、前期実績から15円増える計画です。事業撤退後の収益構造を整えながら還元も強化している点は評価できます。
今後の注目ポイント
通信関連の成長と北米採算の改善を確認
自己資本比率は前期末の59.6%から63.0%へ上昇しました。借入金の減少もあり、財務の安全性は改善しています。一方、現金及び預金は26.77億円減少し、売上債権と棚卸資産は増加しました。第1四半期はキャッシュ・フロー計算書がないため、中間決算で現金減少の内訳を確認する必要があります。
主なリスクは、北米子会社の採算悪化、自動車需要の変動、通信関連の成長鈍化です。HDD用サスペンション撤退による前年比較のゆがみが一巡した後、継続事業だけで利益を伸ばせるかが本当の評価点になります。
まとめ
サンコールの第1四半期は減収減益でしたが、その中心はHDD用サスペンション事業撤退の反動です。通信関連は42.7%増、自動車分野も9.3%増となり、継続事業には成長が見られました。
会社は通期経常利益を85億円へ上方修正し、年間配当も35円へ増額しています。今後は、データセンター向け通信製品の伸び、北米の採算改善、上方修正後の利益計画に対する進捗を確認することが重要です。
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