車載半導体関連株5社を役割別に整理|マイコン・SoC・イメージセンサー・電源ICの違い
自動車の電子化が進むにつれ、「車載半導体」という言葉を目にする機会が増えました。ただ、同じ車載半導体でも、車を制御するマイコンと、周囲を見るイメージセンサーでは役割がまったく違います。
さらに、EVの電力変換を担うパワー半導体や、回路を安定して動かす電子部品まで一緒にすると、どの会社が何を作っているのか分かりにくくなります。
この記事では、車の「制御・認識・電源管理」を担う半導体に範囲を絞り、国内上場企業5社を役割別に整理します。自動車部品全体から会社を探したい場合は、自動車部品関連銘柄まとめもあわせてご覧ください。
車載半導体関連株が注目される理由|車の電子化で役割が広がる
車載半導体が注目される理由は、EVの普及だけではありません。エンジン車を含め、自動車には走行、安全、快適性を制御する電子機器が数多く搭載されています。さらにADASや自動運転が進めば、カメラやレーダーで周囲を捉え、その情報を処理し、車両を動かすまでの仕事が増えていきます。
ここで大切なのは、半導体を一つの製品として見ないことです。センサーが周囲の情報を取り込み、SoCが画像やデータを処理し、マイコンがブレーキやモーターなどを制御します。その一方で、各装置へ安定した電力を届けるためには電源ICも必要です。
つまり、車載半導体は「自動車に使われるチップ」という一言では捉えきれません。どの情報を取り込み、何を計算し、どの機能を制御するのかまで分けると、各社の立ち位置が見えやすくなります。
車載半導体関連5社を役割別に整理
| 車載での役割 | 企業名・コード | 主な製品 | 車載半導体との接点 |
| 車両制御 | ルネサス(6723) | RH850、R-Car | MCUとSoCで車両制御からADASまで支える |
| 高度な演算 | ソシオネクスト(6526) | 車載カスタムSoC | ADAS、LiDAR、V2X、車載カメラなどへ展開 |
| 周囲の認識 | ソニーグループ(6758) | 車載CMOSイメージセンサー | ADAS・自動運転用カメラの「目」を担う |
| 車載システムとの統合 | デンソー(6902) | MCU・SoC、センサー、アナログ半導体 | 半導体と自動車部品を組み合わせて車両機能へつなぐ |
| 電源管理・アナログ | 日清紡HD(3105) | PMIC、レギュレータ、モーターIC | ECUやセンサーへ必要な電力を供給・制御する |
この表は企業の優劣を示すランキングではありません。同じ自動車に搭載される半導体でも仕事が異なるため、まず役割を見分けるための地図として使ってください。
車を制御する半導体|マイコンとSoC
ルネサスエレクトロニクス(6723)|車載マイコンからADAS用SoCまで
ルネサスエレクトロニクスは、自動車の電子制御を支える半導体メーカーです。車載マイコン「RH850」は、車両のさまざまな機能を制御する頭脳として使われます。一方の「R-Car」は、ADASや自動運転など、より多くのデータを処理する用途を担う車載SoCです。
同じ処理用半導体でも、マイコンは決められた制御を確実に実行することが中心で、SoCは画像認識などの複雑な処理を一つのチップへまとめます。ルネサスは、この両方を持つことで、従来の車両制御から高度な運転支援まで幅広く関わっています。
ソシオネクスト(6526)|車種やシステムに合わせるカスタムSoC
ソシオネクストは、顧客の用途に合わせたカスタムSoCを設計するファブレス半導体企業です。車載分野では、LiDAR、V2X、HMI、センシングカメラなどに対応するSoCを展開しています。
ルネサスのように幅広い車載製品群を持つ企業とは違い、ソシオネクストの特徴は、顧客が作ろうとするシステムに合わせて半導体の構成を設計することです。ADASや自動運転が高度になるほど処理内容は複雑になりますが、案件の獲得がすぐに量産売上へつながるとは限りません。開発から量産までの進み方を分けて確認する必要があります。
車の周囲を捉える半導体|イメージセンサー
ソニーグループ(6758)|ADAS・自動運転用カメラの目
ソニーグループの半導体事業では、車載用CMOSイメージセンサーを展開しています。カメラが車線、標識、歩行者、周囲の車などを認識するには、明るい昼間だけでなく、夜間や逆光でも安定して画像を取得しなければなりません。
ソニーセミコンダクタソリューションズは、高感度やHDR、LEDフリッカー抑制といった車載カメラ向けの性能を示しています。車載イメージセンサーを見るときは、画素数だけではなく、厳しい走行環境で認識に使える画像を取得できるかが重要です。
半導体を車両機能へつなぐ企業|システムと電源管理
デンソー(6902)|自動車部品と半導体を一つのシステムへ
デンソーは、自動車部品メーカーでありながら、パワー半導体、マイコン・SoC、センサーの3領域で車載半導体に取り組んでいます。同社の立ち位置は、半導体を単体で販売するだけではなく、自動車の機能やシステムへ組み込む側の知識も持っていることです。
車載システムに必要な性能を半導体へ落とし込み、半導体の特徴を車両側で引き出す。この両方向をつなげられる点が、専業半導体メーカーとは違う見方になります。ただし、デンソーには幅広い自動車部品事業があるため、車載半導体だけで全社の業績を説明しないことも大切です。
日清紡ホールディングス(3105)|車載機器を支える電源IC
日清紡ホールディングスでは、日清紡マイクロデバイスが車載向けのアナログ半導体を展開しています。製品にはPMIC、DC/DCコンバーター、LDOレギュレーター、モーターICなどがあり、ECUやセンサー、ネットワーク機器などの電源を管理します。
演算性能が注目されるSoCに比べると、電源ICは目立ちにくい存在です。しかし、電圧を安定させ、必要な順番で各回路を立ち上げなければ、高性能な半導体も正しく動きません。日清紡HDを見る場合は、車載向け製品の広がりと、それが半導体事業の売上構成にどう表れるかを分けて確認したいところです。
パワー半導体や電子部品と分けて読む
車載半導体の中には、モーターを動かす大きな電力を変換・制御するパワー半導体もあります。ただし、富士電機、三菱電機、ロームなどをこの記事にも並べると、制御・認識用の半導体との違いが埋もれてしまいます。
SiCを含む電力制御の企業は、パワー半導体関連銘柄まとめで独立して整理しています。
また、MLCC、コネクター、フェライトコアなども自動車の電子化を支える重要な製品ですが、半導体ではありません。これらを含めて確認したい場合は、電子部品関連株まとめへ進むと、製品の役割を混同せずに読めます。
車載半導体関連株で確認したいポイント
車載半導体を見るときは、「自動車向け製品を持っている」という事実だけで判断しない方がよいでしょう。
ルネサスでは車載マイコンとSoCの需要、ソシオネクストでは開発案件が量産へ移る時期、ソニーでは車載イメージセンサーの採用拡大が確認点になります。デンソーは半導体と車載システムをどう結び付けるか、日清紡HDは車載向けアナログ半導体が事業全体でどの程度の位置を占めるかが重要です。
同じ「車載半導体需要の拡大」でも、各社の売上へ表れるまでの道筋は異なります。製品発表、設計採用、量産開始を同じ段階として扱わず、会社が実際に開示している情報を追うことが欠かせません。
まとめ
車載半導体関連株は、マイコン、SoC、イメージセンサー、電源IC、車載システムとの統合という役割で分けると理解しやすくなります。
ルネサスは制御用MCUと車載SoC、ソシオネクストはカスタムSoC、ソニーは車載イメージセンサーを手掛けています。デンソーは半導体を車両システムへつなぎ、日清紡HDは電源管理を中心とするアナログ半導体で車載機器を支えます。
一方、パワー半導体やMLCC、コネクターなどは重要でも役割が異なります。テーマ名で企業をまとめる前に、その製品が車のどこで働いているかを確認することが、企業を比較する第一歩です。
