【内田洋行(8057)】GIGAスクール更新で過去最高益|次期は反動減も配当76円を維持
内田洋行(8057)の2026年7月期は、売上高4,257億円、営業利益156億円となり、いずれも過去最高を更新しました。最大の要因は、GIGAスクール端末の更新が本格化した公共関連事業です。端末だけでなく、校務・学習系ネットワークの統合、セキュリティ、自治体システム標準化などの案件が重なりました。
一方、2027年7月期の会社計画は、GIGA更新需要の反動を踏まえた減収減益です。今回の好決算をそのまま翌期へ延長して見るのではなく、どの事業が伸び、どこに反動や費用増があるのかを分けて確認する必要があります。
GIGAスクール更新で売上高26.3%増、営業利益28.4%増となった2026年7月期
| 項目 | 2025年7月期 | 2026年7月期 | 前年比 | 見るポイント |
| 売上高 | 3,370億円 | 4,257億円 | +26.3% | 公共案件が牽引 |
| 営業利益 | 121億円 | 156億円 | +28.4% | 売上増が費用増を吸収 |
| 経常利益 | 131億円 | 167億円 | +27.8% | 持分法利益も増加 |
| 純利益 | 98億円 | 124億円 | +27.1% | 投資有価証券売却益を含む |
| 営業利益率 | 3.6% | 3.7% | +0.1pt | 小幅に改善 |
売上高は前期比886億円増え、営業利益は34億円増加しました。売上の伸び率を営業利益の伸び率が上回り、営業利益率は3.6%から3.7%へ小幅ながら改善しています。売上総利益は68億円増えた一方、販売費及び一般管理費の増加は33億円にとどまりました。
人材採用、ベースアップ、グループ共通の販売管理システム導入などで販管費は増えています。それでも、GIGA関連を中心とした増収が費用増を上回りました。増収だけでなく、増加した粗利益が費用増を吸収したことが、営業利益の拡大につながった構図です。
公共関連事業が利益成長を牽引。情報関連事業は売上増でも減益
| 事業 | 売上高 | 前年比 | 営業利益 | 前年比 |
| 公共関連 | 1,610億円 | +73.6% | 89億円 | +71.2% |
| オフィス関連 | 591億円 | -0.4% | 21億円 | +7.3% |
| 情報関連 | 2,044億円 | +11.3% | 42億円 | -6.5% |
公共関連事業は、GIGAスクール端末の更新がピークを迎え、売上高・営業利益ともに大幅に増えました。端末調達からキッティング、全国展開までを一体で担い、校務・学習系ネットワークの統合やセキュリティ対策、自治体システム標準化、学校・福祉施設の大型案件も取り込みました。今回の全社増益の中心は、この公共関連事業です。
対照的に、情報関連事業は売上高が増えたものの、営業利益は減少しました。大手企業向けの位置・環境データ活用案件、会議室運用支援サービス、Windows 10サポート終了に伴うITサービス需要は追い風でした。一方で、利益率が相対的に高い中小企業向けSI案件では、サーバーやPCの供給遅延、更新需要の端境期が影響しました。
オフィス関連事業は大型案件の反動で売上高がわずかに減少しましたが、海外市場の回復とオフィス周辺事業の収益性改善で営業利益は増加しています。全社の数字だけを見ると好調ですが、各事業の利益の動きは一様ではありません。
通期予想・株主還元
| 項目 | 2026年実績 | 2027年計画 | 前年比 | 主な見方 |
| 売上高 | 4,257億円 | 4,000億円 | -6.0% | GIGA更新の反動 |
| 営業利益 | 156億円 | 150億円 | -4.0% | 公共・民間案件の継続性 |
2027年7月期の会社計画は、売上高4,000億円、営業利益150億円です。2026年7月期の実績と比べると、それぞれ6.0%減、4.0%減を見込みます。今回の過去最高益には、GIGAスクール端末更新が集中した影響があります。そのため、次期の減益計画だけを弱材料とみるのではなく、更新需要の反動を織り込んだ数字であることを先に押さえる必要があります。
一方で、公共市場では自治体システム標準化の一部が翌期以降へ延伸しています。民間市場でも、ソフトウェアライセンス、会議室運用支援、位置・環境情報を活用する案件が続くかを確認したいところです。公共関連事業の反動を、他の案件がどの程度補えるかが次期を見る焦点になります。
配当76円は維持。株式分割前の金額との単純比較には注意
| 年度 | 表示配当 | 分割調整後 | 備考 |
| 2025年7月期 | 300円 | 60円 | 分割前の金額 |
| 2026年7月期 | 76円 | 76円 | 期末配当を4円増額 |
| 2027年7月期予想 | 76円 | 76円 | 会社予想 |
2026年7月期の期末配当は、2026年6月公表の72円から76円へ増額されました。業績が当初見通しを上回り、投資有価証券売却益も計上したことを踏まえた増配です。2027年7月期も76円を予定しています。
ただし、2026年1月に1株を5株とする株式分割が行われています。2025年7月期の年間配当300円と、2026年7月期の76円をそのまま比較してはいけません。分割を考慮しない場合、2026年7月期の期末配当は380円、2027年7月期予想も380円です。
営業CFは130億円へ増加、自己資本比率も改善
営業活動によるキャッシュ・フローは130億円となり、前期の5億円から大きく増加しました。税金等調整前当期純利益の増加に加え、契約負債の増加、棚卸資産と売上債権・契約資産の減少が資金を押し上げています。現金及び現金同等物は313億円、自己資本比率は45.8%で、前期の40.3%から改善しました。
この改善には、利益の積み上がりのほか、投資有価証券評価差額金の増加も含まれます。高い営業CFが一過性ではなく、次期の案件構成でも維持できるかは、配当と投資余力を考えるうえでも重要です。
今後の注目ポイント
今回の決算は、GIGAスクール更新を起点に公共関連事業が全社利益を牽引しました。次回以降は、端末更新の集中が一巡する中で、ネットワーク、セキュリティ、自治体標準化、大学・学校施設などの案件がどこまで続くかを確認したいところです。
民間市場では、会議室運用支援やライセンス契約などの継続収益と、中小企業向けSI案件の回復がポイントになります。売上高だけではなく、情報関連事業の利益率が戻るかも見ておきたい材料です。
まとめ
内田洋行の2026年7月期は、GIGAスクール端末更新と周辺のネットワーク・セキュリティ案件を取り込み、売上高・各利益が過去最高となりました。公共関連事業が大きく伸びる一方、情報関連事業では売上高が増えても営業利益が減少しており、事業ごとの濃淡はあります。
2027年7月期は反動減の計画です。GIGA関連の反動を前提に、公共IT案件の継続、民間の継続収益、中小企業向けSI案件の回復を確認することが、次期業績を読むうえで重要になります。
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