【ナトコ(4627)】塗料・ファインケミカル・蒸留を手掛ける会社|「表面」をつくる3事業の仕組み
スマートフォンの表面、車の内装、工作機械、建材。見た目が異なる製品でも、使い心地や耐久性、機能を左右する「表面」を持っています。ナトコ(4627)は、その表面に塗料やコーティング剤で機能を与える企業です。
ナトコは何の会社かと聞かれると、塗料メーカーという答えがまず浮かびます。ただ、事業は塗料だけではありません。情報端末や自動車部材向けのファインケミカル、使用済み溶剤を回収・再生する蒸留も手掛けています。本記事では、3事業がそれぞれどの現場で役割を果たしているのかを整理します。
「表面」に機能を与える3事業
ナトコグループの事業は、ファインケミカル、塗料、蒸留の3つに分かれます。共通するのは、色を付けるだけではなく、製品の表面へ求められる機能や質感に向き合う点です。ただし、顧客や製品が市場へ届くまでの流れは同じではありません。
ファインケミカル事業は、スマートフォンやパソコンなどの情報端末、ディスプレイフィルム、自動車内装向けのコーティング剤を製造・販売します。塗料事業は、工作機械、建設機械、鉄道、住宅建材などへ対象を広げます。蒸留事業は、使用済み溶剤を回収して再生し、各種シンナーの販売や廃棄物の収集運搬・処分まで担います。
このためナトコを理解する際は、用途の違う製品を単に並べるよりも、表面を仕上げる材料の開発・供給と、使用後の溶剤を循環させる事業が併存していると捉える方が分かりやすいでしょう。
情報端末とモビリティに向けるファインケミカル
情報端末やディスプレイフィルム、自動車内装では、見た目だけでなく、素材に合った質感や機能が求められます。ナトコのファインケミカル事業は、機能性ポリマーを用いたコーティング剤を開発し、こうした分野へ提供しています。
公式サイトでは、エンジニアが顧客の声を聞き、サンプルの提案から製品ラインへの適合支援まで行う体制を説明しています。単に既製品を供給するのではなく、用途や素材、製造工程を確認しながら、顧客の製品に合うコーティング剤を提案する流れです。
例えばモビリティ用途では、自動車内装のプラスチック素材、ヘッドランプの防曇、ホイールキャップ、ブレーキディスクやワイパーアームといった金属部品に対応する製品を紹介しています。何に塗るかによって必要な機能は変わるため、ポリマーの開発から塗装・生産への反映までをつなぐ体制が、この事業の中核になります。
工業製品と建材を支える塗料事業
塗料事業の対象は、工業用製品から住宅用建材まで幅広くなっています。金属用塗料では、工作機械、建設機械、鉄道、景観部材などの金属製品を用途に挙げています。外装・内装の建材向けにも製品を展開しており、塗る対象の材質や使用環境が異なる市場に対応しています。
この事業の特徴は、塗料の色や性能だけではなく、実際の塗装方法や顧客の製造ラインへの適合まで扱う点です。ナトコは技術担当と営業担当が連携し、製造ラインを訪問して生産に向けたサポートを行うと説明しています。ラボには実際の製造ラインを模した設備を持ち、顧客の塗装仕様に合うかを確認する体制も示しています。
塗料は完成品の表面で初めて役割が見える製品ですが、その前には素材、塗装方法、乾燥条件、意匠といった検討があります。工業製品や建材で同社がどのような製品を提供するかを見るときは、塗料の品名だけではなく、こうした製造工程への関わりも確認したい部分です。
使用済み溶剤を回収・再生する蒸留事業
塗料やコーティング剤を扱う工程では、溶剤やシンナーが使われます。ナトコグループの蒸留事業は、使用済み溶剤の回収・蒸留再生と各種シンナーの販売を行い、廃棄物の収集運搬・処分にも関わります。
この事業は、ナトコ本体だけでなく、巴興業、アイシー産業、三丸化学といった関係会社が担っています。公式サイトによれば、単蒸留と精密蒸留に対応する設備を使い、さまざまな種類の溶剤を再生します。塗料やコーティング剤をつくる事業とは役割が異なりますが、表面加工の現場で生じる溶剤を循環させる点で、グループ全体の事業領域を広げています。
蒸留事業をファインケミカルや塗料の販売量と直接結び付けることは、今回確認した資料だけではできません。それでも、材料を供給する段階だけでなく、使用後の溶剤の回収・再生まで扱う企業群を持つことは、ナトコの事業構成を理解するうえで欠かせません。
ポリマー・分散・コーティング・色彩を組み合わせる研究開発
ナトコは、ポリマー材料技術を根幹に、分散、コーティング、色彩の4つの要素技術を組み合わせて研究開発を進めています。ポリマーの合成や構造制御、顔料・ナノ粒子の分散、印刷や塗装に向けたコーティング、色や触感を含む表面デザインまで、扱う範囲は広がっています。
この研究開発は、ファインケミカルの機能性コーティング剤だけのためにあるわけではありません。塗料事業で求められる塗装仕様や意匠性とも接点があります。用途ごとに必要な製品は異なっても、表面へどのような機能を付けるかを考え、材料から塗る工程まで検討することが、3事業のうち特に塗料とファインケミカルを結ぶ土台になっています。
まとめ
ナトコは、塗料、ファインケミカル、蒸留の3事業を展開する企業です。情報端末・ディスプレイフィルム・自動車内装などへ機能性コーティング剤を提供する一方、工作機械や建設機械、鉄道、建材向けの塗料も手掛けています。
さらに、関係会社を通じて使用済み溶剤の回収・蒸留再生も行っています。ナトコを塗料メーカーという言葉だけで捉えるのではなく、表面の機能や意匠をつくる材料・塗装工程と、溶剤再生までを含む事業構造として見ると、各事業の役割がつかみやすくなります。
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