決算分析【KOKUSAI ELECTRIC(6525)】は減益でも買いか?AI半導体需要と来期回復シナリオを徹底分析
KOKUSAI ELECTRIC(6525)が2026年3月期決算を発表しました。
決算数値だけを見ると減収減益となり、一見すると勢いが鈍化した印象を受けます。しかし決算内容を精査すると、背景にあるのは事業悪化ではなく、中国向け設備投資の反動と将来成長へ向けた先行投資でした。
さらに会社計画では来期に大幅な増収増益を見込んでおり、AI半導体市場拡大の恩恵継続も示唆されています。
本記事では決算表をもとに、数字の変化と投資判断のポイントを整理します。
2026年3月期決算
まずは主要数値を確認します。
| 項目 | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 2,351億円 | ▲1.6% |
| 営業利益 | 418億円 | ▲18.5% |
| 営業利益率 | 17.8% | ▲3.7pt |
| 親会社株主帰属利益 | 301億円 | ▲16.4% |
| EPS | 129.0円 | ▲16.6% |
| 調整後営業利益 | 476億円 | ▲17.6% |
売上収益は前期比1.6%減に留まりましたが、利益は大きく低下しました。
特に注目すべきなのは営業利益率です。前期21.5%だった利益率は17.8%まで低下しており、単純な売上減以上に収益構造が悪化しています。
また、投資家が重視するEPSも154円から129円へ減少しており、株価評価面では利益成長の鈍化が意識されやすい内容となりました。
ただし調整後営業利益でも476億円を維持しており、高収益企業としての基盤は崩れていません。
減収減益となった理由|需要消失ではなく投資サイクル調整
今回の決算で最も重要なのは、なぜ利益が落ちたのかという点です。
会社説明によると、前期まで活発だった中国でのDRAM設備投資が落ち着いたことが大きな要因でした。加えて、生産工場の稼働率低下や製品構成変化、研究開発の先行投資も利益を押し下げています。
一方で需要そのものが消失したわけではありません。
AI活用拡大を背景に、高性能LogicやDRAM向け設備投資は継続しており、NANDについても世代更新投資が続いています。会社側も半導体市場の中長期成長シナリオは変えていません。
つまり今回の減益は、景気後退よりも設備投資サイクルの調整色が強い決算と考えられます。
地域別売上から読み取れる事業構造の変化
地域別売上を見ると、変化がより鮮明です。
| 地域 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 199億円 | 228億円 | +14.8% |
| 中国 | 1,119億円 | 906億円 | ▲19.0% |
| 台湾 | 420億円 | 431億円 | +2.7% |
| 韓国 | 380億円 | 576億円 | +51.6% |
| 米国 | 151億円 | 78億円 | ▲48.4% |
最大の特徴は、中国売上が減少する一方で韓国売上が大きく伸びた点です。
これまで中国依存が高い点はリスク要因として意識されていましたが、韓国・台湾向けが拡大したことで地域分散が進みました。
ただ、中国向け売上は依然として全体の中で大きく、今後も半導体規制や投資動向の影響には注意が必要です。
決算表から見る財務体質|利益減でも中身は改善
利益減少の一方で、財務は改善しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 総資産 | 3,415億円 | 3,597億円 |
| 純資産 | 1,962億円 | 2,193億円 |
| 自己資本比率 | 57.4% | 61.0% |
| 現金残高 | 448億円 | 565億円 |
利益剰余金の積み上がりによって純資産は231億円増加しました。
また借入返済も進めた結果、自己資本比率は61%まで上昇しています。
半導体製造装置は設備投資サイクルの影響を受けやすい業種ですが、財務余力が高い企業は不況局面でも研究開発や増産投資を継続できます。
その意味で今回の財務改善は評価できる内容でした。
キャッシュフローは過去最高圏、利益以上に強い内容
キャッシュフローを見ると印象が変わります。
| 項目 | 2026年3月期 |
|---|---|
| 営業CF | 488億円 |
| 投資CF | ▲170億円 |
| 財務CF | ▲215億円 |
| 現金残高 | 565億円 |
営業CFは前年から増加しました。
利益が減少したにもかかわらず資金創出力が改善した背景には、営業債権回収の改善と高水準利益維持があります。
さらに投資を継続しながら借入返済も進めており、資本効率は良好です。
利益だけを見ると弱く見える決算ですが、キャッシュ面ではむしろ強さが確認できました。
配当は維持、来期は増配計画と自社株買い
株主還元にも変化があります。
| 年度 | 年間配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| 2025年3月期 | 37円 | 23.8% |
| 2026年3月期 | 37円 | 28.7% |
| 2027年3月期予想 | 47円 | 28.3% |
利益減少局面でも減配せず、来期は47円への増配計画を公表しました。
加えて、最大53億円・150万株の自己株取得も発表しています。
利益成長だけでなく、株主還元強化も今後の株価支援材料になりそうです。
来期業績予想|会社は再成長を想定
会社計画はかなり強気です。
| 項目 | 2027年3月期予想 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 2,800億円 | +19.1% |
| 営業利益 | 545億円 | +30.3% |
| 当期利益 | 388億円 | +28.9% |
| EPS | 166.1円 | +28.7% |
背景には、
AI向け需要継続、高性能デバイスの世代更新、生産工場稼働率改善があります。
利益率改善まで前提に置いているため、今後の四半期進捗率は特に重要になります。
まとめ
KOKUSAI ELECTRIC(6525)の2026年3月期決算は減収減益でした。
しかし内容を見ると、中国向け投資反動と先行投資の影響が中心であり、競争力低下を示すものではありません。
むしろ、利益率低下の一方で財務体質は改善し、キャッシュ創出力も強化。さらに来期は増収増益と増配を計画している。
ここが今回決算の本質です。
AI半導体需要が継続する限り、次の成長局面に入れるかが最大の注目点になりそうです。
本記事は投資判断を推奨するものではありません。
最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
