【デジタルアーツ(2326)】何の会社?「i-FILTER」を強みに成長する国産セキュリティ企業の事業内容と強み
デジタルアーツ(2326)は、Web・メール・ファイルなどの情報セキュリティ製品を開発・提供する国産セキュリティメーカーです。
1998年に国産Webフィルタリングソフトを開発して以来、Webフィルタリングを中心にセキュリティ技術を蓄積し、現在では企業や官公庁、自治体、学校、家庭など幅広い市場へ製品を提供しています。主力製品の「i-FILTER」「m-FILTER」は、それぞれWebとメールのセキュリティを支える製品として高い市場シェアを持っています。
また、デジタルアーツはWebやメールだけを守る企業ではありません。ファイルの暗号化・遠隔削除、データ保護、統合認証、ゼロトラストなどへ製品領域を広げており、インターネット利用に伴うさまざまなセキュリティリスクを総合的にカバーする企業へ進化しています。
同社の強みは、長年にわたって蓄積してきたWebフィルタリングのデータベースや技術力、高い市場シェア、顧客からの継続利用にあります。特に「i-FILTER」は国内シェア55%以上、「m-FILTER」は68%以上とされており、セキュリティ市場で確固たるポジションを築いています。
さらに今後は、「Z-FILTER」を中心にゼロトラストや認証などの領域へ事業を拡大し、既存の技術や顧客基盤を新たな成長市場につなげようとしています。
この記事では、デジタルアーツが何の会社なのか、どのような製品を提供しているのか、なぜ高い市場シェアを維持できるのか、そして今後どのような成長が期待できるのかを、事業内容から詳しく解説します。
デジタルアーツとはどんな会社?
デジタルアーツは、Web・メール・ファイルなどのセキュリティソフトウェアを提供する国産の情報セキュリティメーカーです。
1995年に創業し、1998年には国産のWebフィルタリングソフトを市場に投入しました。インターネットの普及に伴って増加する情報漏えいやサイバー攻撃などのリスクに対して、Webフィルタリングを起点にセキュリティ製品の開発を続けています。現在は、製品の企画・開発・販売・サポートまでを一貫して自社で行う体制を構築しています。
同社の事業は、企業・公共・家庭の3つの市場を対象としています。企業向けでは、SaaS利用やリモートワークの普及によるクラウド環境のセキュリティ対策、メールを利用した情報漏えいやマルウェアへの対策など、企業が抱えるさまざまなセキュリティ課題に対応しています。
公共向けでは、官公庁や自治体、教育委員会、学校などへ製品を提供しています。行政機関では国が定める情報セキュリティ基準への対応が求められるほか、教育現場では児童・生徒が利用する端末の安全なインターネット環境を整備する必要があります。デジタルアーツはこうした需要に対して「i-FILTER」「m-FILTER」を中心とした製品を提供しています。
家庭向けでは「i-フィルター」を展開しています。インターネットが子どもにとって身近になる一方、不適切なサイトへのアクセスや犯罪に巻き込まれるリスクも問題となっています。デジタルアーツは携帯電話事業者やMVNO事業者などとも連携し、家庭で安心してインターネットを利用するためのフィルタリングサービスを提供しています。
「i-FILTER」がWebセキュリティ事業の中核
デジタルアーツを代表する製品が、Webセキュリティ製品「i-FILTER」です。
企業や学校などでインターネットを利用する際には、業務や学習に必要なWebサイトだけでなく、マルウェア感染や情報漏えいにつながる可能性があるサイトへアクセスしてしまうリスクがあります。
「i-FILTER」は、インターネットアクセスに伴う危険を未然に防止し、安全なWeb利用環境を構築するための製品です。デジタルアーツは長年にわたってWebフィルタリングに取り組んでおり、公式HPでは「i-FILTER」の国内シェアを55%以上としています。
ここで重要なのが、単にWebサイトへのアクセスを制限するソフトウェアを提供しているわけではないことです。
Web上には膨大な数のサイトが存在し、新しいサイトも日々登場します。そのため、フィルタリングの精度を維持するには、Webサイトの情報を継続的に収集・分析し、適切に分類するためのデータベースが必要になります。
デジタルアーツは1998年からWebフィルタリングを手掛けてきたことで、国内最大級のWebフィルタリングデータベースを構築しています。長年蓄積したデータと運用ノウハウが、「i-FILTER」の製品力を支える重要な基盤となっています。
「m-FILTER」でメールセキュリティにも展開
Webと並んで企業活動に欠かせないのがメールです。
そこでデジタルアーツが提供しているのが、メールセキュリティ製品「m-FILTER」です。
企業では日々大量のメールが送受信されており、メールを経由したマルウェア感染やフィッシングなどのサイバー攻撃だけでなく、誤送信による情報漏えいにも対応する必要があります。
「m-FILTER」は、安全なメール送受信を実現するためのセキュリティ製品として提供されています。公式HPでは国内シェアを68%以上としており、「i-FILTER」と並んでデジタルアーツの事業を支える主力製品となっています。
つまりデジタルアーツは、Webとメールという企業活動における重要な2つの通信経路をセキュリティ面からカバーしています。
Web・メールからファイルや認証へ事業領域を拡大
デジタルアーツの事業は、「i-FILTER」と「m-FILTER」だけではありません。
現在では、ファイル暗号化・遠隔削除の「FINAL CODE」や、シングルサインオン・ID管理の「a-FILTER」、データ保護・ファイル転送の「f-FILTER」などへ製品ラインアップを広げています。さらに、チャット・オンライン会議ツールの「Desk」も提供しています。
これは、同社がWebフィルタリングだけを手掛ける企業から、より幅広い情報セキュリティを提供するメーカーへ事業領域を広げていることを意味します。
企業のセキュリティ対策では、Webサイトを安全に利用するだけでは十分ではありません。メールから侵入する脅威、外部へ持ち出されるファイル、クラウドサービスへアクセスする利用者の認証など、さまざまな場所で情報を守る必要があります。
デジタルアーツは、こうしたセキュリティニーズに対して製品ラインアップを広げることで、企業や官公庁・学校、家庭のインターネット利用を幅広く支える情報セキュリティメーカーへと進化しています。
さらに同社は、従来の「i-FILTER」の機能強化も進めています。公式の事業戦略では、「i-FILTER」を次世代セキュアWebゲートウェイへ進化させ、より広範囲なセキュリティ対策ニーズに対応する製品戦略を展開しているとしています。
このように、デジタルアーツはWebフィルタリングを事業の出発点としながら、Web・メール・ファイル・認証などへセキュリティの守備範囲を広げている企業です。
デジタルアーツの強みは?高い市場シェアと独自データベースが競争力
デジタルアーツの最大の強みは、長年培ってきたWebフィルタリング技術とデータベースを基盤に、高い市場シェアと顧客基盤を築いていることです。
同社は1998年に国産のWebフィルタリングソフトを市場に投入して以来、Webやメールに関する情報を蓄積しながら製品を進化させてきました。現在では「i-FILTER」がWebフィルタリング市場で55%以上、「m-FILTER」がメールセキュリティ市場で68%以上のシェアを占めています。さらに、製品の継続利用率も約90%と高い水準です。
高いシェアを維持できている背景には、単純にセキュリティソフトの機能が優れているだけではなく、長期間にわたって蓄積してきたデータ、独自技術、導入実績、そして国産メーカーとしての開発・サポート体制があります。
国内最大級のWebフィルタリングデータベースが競争力の源泉
デジタルアーツの技術力を語るうえで欠かせないのが、国内最大級のWebフィルタリングデータベースです。
Webフィルタリングは、単純に危険なWebサイトをブロックするだけの技術ではありません。インターネット上には膨大な数のWebサイトが存在し、新しいサイトが次々に登場するうえ、既存サイトの内容も変化します。
そのため、どのWebサイトが安全なのか、どのサイトにリスクがあるのかを継続的に分析し、適切に分類するためのデータベースが必要になります。
デジタルアーツは1998年からWebフィルタリング事業を続けてきたことで、この分野における長年のデータとノウハウを蓄積してきました。公式HPでも、製品の根幹を支える国内最大級のWebフィルタリングデータベースを同社の強みとして挙げています。さらに、世界27の国と地域で特許を取得した技術力も競争優位の一つです。
つまり、「i-FILTER」の競争力はソフトウェアそのものだけで決まるわけではありません。
長年蓄積したデータと、それを製品へ反映する仕組みそのものが参入障壁になっていることが重要です。
後発企業が同じような画面や機能を持つ製品を開発することはできても、長期間にわたって蓄積されたWeb情報や分類ノウハウまで短期間で再現するのは容易ではありません。
このデータ資産が、デジタルアーツの高い市場シェアを支える土台になっています。
「ホワイト運用」で安全なWeb・メールだけを利用する仕組み
もう一つの特徴が、デジタルアーツ独自の「ホワイト運用」です。
一般的なセキュリティ対策では、危険なサイトや不正な通信を検知してブロックするという考え方が中心になります。
一方、デジタルアーツのホワイト運用では、同社が安全と判断したWebサイトやメールを利用するという考え方を採用しています。
同社によると、2026年2月末時点で「Z-FILTER」「i-FILTER」「m-FILTER」などにおけるホワイト運用の利用者数は1,500万人を超えており、これらのユーザーについてマルウェア感染被害の報告は0件としています。これは自社調べの数値ですが、同社のセキュリティ技術を理解するうえで重要な実績です。
この仕組みを支えているのが、長年蓄積してきたWebサイトやメールに関するデータベースです。
つまり、データベースが大きくなるほど安全性の判断に活用できる情報も増え、それを製品のセキュリティ機能へ反映できるという点がデジタルアーツの強みと言えます。
「i-FILTER」と「m-FILTER」が高い市場シェアを持つ
デジタルアーツの競争力は、実際の市場シェアにも表れています。
「i-FILTER」は、2023年度のWebフィルタリング市場で55.5%の売上金額シェアを占め、ITRの調査で1位となっています。また、富士キメラ総研の2024年度調査でもWebフィルタリングツール市場のベンダーシェア1位を獲得しています。
「m-FILTER」についても、2024年度の電子メールフィルタリング・アーカイブツール市場で68.2%の出荷本数シェアを占め、1位となっています。
この2製品がそれぞれWebとメールという異なる領域で高いシェアを持っていることは、デジタルアーツの大きな特徴です。
Webアクセスを守る「i-FILTER」と、メールを守る「m-FILTER」を組み合わせることで、企業や官公庁、学校が抱える複数のセキュリティ課題に対応できます。
さらに、両製品は長年にわたって企業・官公庁・学校などへ導入されてきました。ITreviewでも「i-FILTER」はWebフィルタリングソフト部門で23期連続、「m-FILTER」はメールセキュリティソフト部門で13期連続して評価されています。
こうした導入実績が積み重なることで、「高いシェア → 導入実績の増加 → 信頼性の向上 → 新たな導入」という好循環を形成しやすくなります。
約90%の継続利用率が安定した顧客基盤につながる
デジタルアーツのもう一つの強みが、製品の継続利用率約90%です。
企業や官公庁が利用するセキュリティ製品は、一度導入すると簡単に別製品へ切り替えられるものではありません。
既存システムとの連携や設定変更、ユーザーへの周知、セキュリティ環境の検証などが必要になるためです。
そのため、製品の性能や信頼性に満足してもらえれば、長期間にわたって利用される可能性があります。
デジタルアーツは、こうしたセキュリティ製品の特性を生かし、継続的に利用される製品基盤を構築しています。
さらに公式HPでは、Webフィルタリング製品について、初年度以降も更新利用料を受け取るストック型のビジネスモデルを採用していると説明しています。これにより、既存顧客から継続的に収益を得られる仕組みを構築しています。
これはデジタルアーツの事業を考えるうえで非常に重要です。
単発でソフトウェアを販売して売上が終わるモデルではなく、顧客が製品を継続利用することで、長期的な収益基盤を積み上げられるからです。
国産メーカーとして開発からサポートまで一貫して提供
デジタルアーツは、海外製セキュリティ製品を国内で販売するだけの企業ではありません。
公式HPでは、国産メーカーとして製品の企画・開発・販売・サポートまでを一貫して行っていることを強みとして挙げています。
セキュリティ分野では、日本企業や官公庁、学校などの利用環境に合わせた細かな対応が求められます。
特にWebフィルタリングでは、日本国内のWeb環境や利用者のニーズを理解したうえで、どのような情報を許可・制限するのかを判断する必要があります。
デジタルアーツは日本市場を中心に長年製品を展開してきたことで、国内の利用環境に合わせて製品を改善していくノウハウを蓄積しています。
その結果として、高い市場シェア、長期的な利用実績、独自データベース、技術力が組み合わさり、同社独自の競争優位につながっています。
デジタルアーツの強さは、一つの機能だけにあるのではありません。長年のデータ蓄積、高い市場シェア、継続利用される製品、ストック型の収益モデル、そして国産メーカーとしての開発力を組み合わせていることが、同社の大きな強みと言えるでしょう。
デジタルアーツの将来性は?ゼロトラスト・認証・データ保護へ事業領域を拡大
デジタルアーツの今後の成長を考えるうえで重要なのが、Webフィルタリングやメールセキュリティで築いた技術・顧客基盤を、新しいセキュリティ領域へ展開していることです。
これまでのデジタルアーツは、「i-FILTER」によるWebアクセスの制御と「m-FILTER」によるメールセキュリティが事業の中心でした。しかし、企業のIT環境がクラウド中心へ変化し、リモートワークやSaaSの利用が広がったことで、従来のネットワーク境界だけで企業を守ることが難しくなっています。
こうした環境変化に対応するため、同社はゼロトラスト、認証、データ保護などへセキュリティの対象を広げています。
特に注目したいのが、「i-FILTER」で培ってきたWebフィルタリング技術を、新しいセキュリティサービスへ展開している点です。
「Z-FILTER」でゼロトラスト市場へ進出
デジタルアーツの新たな成長領域として注目されるのが、「Z-FILTER」です。
Z-FILTERは、SSEとIDaaSを組み合わせたセキュリティソリューションで、認証から端末・通信制御、可視化、ログ管理までを一つの管理画面に統合する製品です。公式HPでは、ゼロトラストセキュリティをZ-FILTERだけで一貫して実現できることを特徴として挙げています。
企業のIT環境では、クラウドサービスやSaaSの利用が当たり前になり、従業員が社内ネットワークだけで仕事をする時代ではなくなっています。
以前は「社内ネットワークの内側は安全、外側は危険」という考え方でセキュリティを構築することができました。しかし、クラウドサービスやテレワークの普及によって、利用者がどこからでも業務システムへアクセスするようになり、ネットワークの場所だけで安全性を判断することが難しくなっています。
そこで重要になるのが、「誰が」「どの端末から」「どこへ」「どのようにアクセスしているのか」を確認しながらセキュリティを確保するゼロトラストの考え方です。
Z-FILTERでは、IDaaSによる認証、ZTNAによるアクセス制御、SWGによるWebアクセス制御などを組み合わせています。さらに、「i-FILTER」を標準搭載していることも大きな特徴です。
つまり、デジタルアーツはゼロトラスト市場へ新しく参入する際にも、これまでのWebフィルタリング事業で培った技術を活用しています。
これは同社にとって重要な意味があります。
「i-FILTER」で築いた技術を既存市場だけで使うのではなく、成長が期待されるゼロトラスト市場へ横展開できるからです。
「i-FILTER」を次世代セキュアWebゲートウェイへ進化
Z-FILTERだけでなく、既存の「i-FILTER」そのものも進化させています。
デジタルアーツは事業戦略の中で、「i-FILTER」を次世代セキュアWebゲートウェイへ進化させる方針を示しています。
これは、従来の「危険なWebサイトへのアクセスを制限する」というWebフィルタリングの役割から、より広いWebセキュリティを担う製品へ発展させる考え方です。
企業の業務環境がクラウド中心になるほど、Webアクセスは単なるインターネット閲覧ではなく、SaaSやクラウド上の業務システムを利用するための重要な経路になります。
そのため、Webアクセスそのものを安全に管理することの重要性は今後も高まる可能性があります。
デジタルアーツにとっては、長年培ってきたWebフィルタリング技術を活かしながら、「i-FILTER」の提供価値を高められる点が成長機会になります。
「a-FILTER」で認証領域にも事業を広げる
ゼロトラストを実現するためには、通信を制御するだけでは十分ではありません。
「誰がアクセスしているのか」を正確に確認する認証機能も重要になります。
そこでデジタルアーツが展開しているのが「a-FILTER」です。
「a-FILTER」は統合認証プラットフォームで、シングルサインオンやID管理などを担います。Webフィルタリングを中心としてきたデジタルアーツが、利用者の認証という領域へ進出することで、セキュリティの守備範囲をさらに広げています。
ここでも重要なのは、単独の新製品を投入しているだけではないことです。
Webアクセスを管理する「i-FILTER」、認証を担う「a-FILTER」、そしてそれらを組み合わせた「Z-FILTER」という形で、これまでの技術や製品を新しいセキュリティ環境へつなげています。
既存事業との関連性が高い新領域へ進出していることは、デジタルアーツの成長戦略を見るうえで重要なポイントです。
ファイル・データ保護へも展開
デジタルアーツは、ネットワークや認証だけでなく、企業が扱うファイルやデータの保護にも事業領域を広げています。
「FINAL CODE」ではファイルの暗号化や遠隔削除に対応し、「f-FILTER」ではデータ保護やファイル転送の領域をカバーしています。
企業の情報セキュリティでは、Webやメールへの対策だけでは不十分です。
重要な情報がファイルとして保存され、それが社内外で共有されたり、クラウドサービスへアップロードされたりするため、データそのものを守る仕組みも必要になります。
デジタルアーツがファイル・データ保護まで製品領域を広げているのは、こうした情報の流れ全体をセキュリティの対象としているためです。
Web、メール、認証、ネットワーク、ファイル、データという複数の領域をカバーすることで、顧客に対してより幅広いセキュリティソリューションを提供できるようになります。
既存顧客基盤を新製品の拡大につなげられるか
デジタルアーツの成長戦略で特に注目したいのが、既存顧客基盤を新しい製品の普及につなげられる可能性です。
同社は「i-FILTER」「m-FILTER」で高い市場シェアを持ち、製品の継続利用率も約90%としています。
このため、すでにデジタルアーツの製品を利用している企業や公共機関に対して、ゼロトラストや認証、データ保護などの新しいセキュリティソリューションを提案できる余地があります。
もちろん、新製品が既存製品と同じ規模まで成長するとは限りません。しかし、すでに顧客との接点とセキュリティに関する信頼を持っていることは、新規市場を開拓するうえで大きな土台になります。
これは、デジタルアーツが完全な新規参入企業とは異なるところです。
長年培ってきたWebフィルタリングの技術、国内最大級のデータベース、高い市場シェア、そして既存顧客との関係を活用しながら、新しいセキュリティ市場へ展開できる可能性があります。
デジタルアーツの将来性とリスク
デジタルアーツの将来性を考えるうえでは、既存製品の競争力を維持しながら、新しいセキュリティ領域でどこまで事業を拡大できるかが重要になります。
Webフィルタリングやメールセキュリティでは高い市場シェアを確立していますが、ゼロトラストや認証、データ保護の市場では国内外の競合企業も存在します。
また、サイバー攻撃の手法は日々変化しているため、セキュリティメーカーには継続的な研究開発が求められます。新しい脅威に対応できなければ、これまで築いてきた競争力を維持することも難しくなります。
そのため、今後は「i-FILTER」「m-FILTER」の強さだけを見るのではなく、Z-FILTERなどの新製品がどこまで顧客へ浸透し、既存のデータ・技術・顧客基盤を新しい収益機会へ変えられるかを見ることが重要です。
デジタルアーツは、Webフィルタリングを起点として、Web、メール、認証、ネットワーク、ファイル、データへとセキュリティの守備範囲を広げています。
今後この戦略が進めば、同社は単なる「Webフィルタリングメーカー」ではなく、企業や公共機関の情報セキュリティ環境全体を支えるメーカーへとさらに進化する可能性があります。
まとめ
デジタルアーツは、Web・メール・ファイルなどのセキュリティソフトウェアを提供する国産の情報セキュリティメーカーです。1998年に国産Webフィルタリングソフトを市場へ投入して以来、Webフィルタリングを起点に技術とデータを蓄積し、現在では企業・公共・家庭の幅広い市場へ製品を展開しています。
主力製品である「i-FILTER」は国内シェア55%以上、「m-FILTER」は68%以上を占め、製品の継続利用率も約90%と高い水準です。さらに、国内最大級のWebフィルタリングデータベースや世界27の国と地域で取得した特許など、長年の事業活動によって蓄積されたデータと技術力が競争力の源泉となっています。
デジタルアーツの強さは、単にセキュリティ製品の市場シェアが高いことだけではありません。Webフィルタリングで築いたデータベースや顧客基盤を活用し、メール、ファイル、認証、ネットワークなどへセキュリティの守備範囲を広げていることが重要です。
特に今後の成長を考えるうえでは、「Z-FILTER」によるゼロトラスト領域への進出が注目されます。Z-FILTERは、ID認証から端末・通信制御、可視化、ログ管理までを一つの管理画面で統合し、IDaaSとSSEを組み合わせたセキュリティ基盤を提供しています。また、「i-FILTER」を標準搭載し、同社が長年培ってきたデータベースを活用した「ホワイト運用」を中核としている点も特徴です。
さらにデジタルアーツは、2026年には生成AIの「入力・出力・利用」を統合制御する取り組みも発表しています。AIの業務利用が拡大するなかで、AI利用状況の可視化やポリシー適用など、AIガバナンスを支えるセキュリティ基盤へ事業を広げようとしている点も見逃せません。
今後は、既存の「i-FILTER」「m-FILTER」の高い競争力を維持しながら、「Z-FILTER」や認証・データ保護、AIセキュリティなどの新しい領域でどこまで顧客基盤を広げられるかが重要になります。
一方で、サイバーセキュリティ市場は技術革新が速く、国内外の競合企業との競争も激しい分野です。新たな脅威への対応や継続的な製品開発が必要になるため、既存製品の強さを維持しながら新領域でも競争優位を築けるかが今後の課題となります。
それでも、デジタルアーツには長年のWebフィルタリング事業で培ったデータ、技術、高い市場シェア、継続利用される顧客基盤があります。これらを新しいセキュリティ市場へ展開できれば、単なるWebフィルタリングメーカーから、企業や公共機関の情報セキュリティ環境全体を支えるメーカーへ進化する可能性があります。
デジタルアーツを分析する際には、目先の製品売上だけを見るのではなく、「i-FILTER」「m-FILTER」で築いた強固な基盤を、ゼロトラスト・認証・データ保護・AIセキュリティへどこまで横展開できるかを見ることが重要でしょう。
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本記事は投資判断を推奨するものではありません。
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