【コーセル(6905)】半導体製造装置向け需要が急回復|受注高2.5倍・営業黒字へ
コーセル(6905)が発表した2027年5月期第1四半期は、売上高が前年同期比54.0%増の78億14百万円となり、営業損益は前年同期の3億89百万円の赤字から5億45百万円の黒字へ転換しました。
目を引くのは黒字転換だけではありません。受注高は前年同期の約2.5倍、受注残高も94.2%増まで膨らみ、会社は中間期・通期予想をそろって上方修正しました。半導体製造装置向けを中心とする需要回復が、実績と先行指標の両方に表れた四半期です。
ただし、親会社株主に帰属する四半期純利益にはPowerboxの再編に伴う特別利益が含まれます。数字の勢いを評価しながらも、本業の回復と一時的な利益は分けて見ていきましょう。
半導体製造装置向け需要が牽引し営業黒字へ!2027年5月期第1四半期を解説
売上高54.0%増、営業損益は9億34百万円改善
まず押さえたいのは、増収がそのまま粗利益の回復につながった点です。
| 項目 | 2026年5月期1Q | 2027年5月期1Q | 前年同期比・前年差 |
| 売上高 | 50億75百万円 | 78億14百万円 | +54.0% |
| 営業利益 | ▲3億89百万円 | 5億45百万円 | +9億34百万円 |
| 経常利益 | ▲79百万円 | 5億80百万円 | +6億59百万円 |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | ▲68百万円 | 6億61百万円 | +7億29百万円 |
| 1株当たり四半期純利益 | ▲1.67円 | 16.08円 | +17.75円 |
売上総利益は前年同期の12億97百万円から23億24百万円へ、10億27百万円増加しました。一方、販売費及び一般管理費の増加は92百万円にとどまっています。売上総利益率も25.6%から29.7%へ上昇しており、売上の回復が固定的な費用を吸収し、営業利益を押し上げたと読めます。
会社は、材料価格や人件費などの上昇が続いた一方、販売の大幅な回復によって収益性が改善したと説明しています。営業利益率は前年同期の▲7.7%から7.0%へ変わりました。単に赤字が消えただけでなく、売上規模の回復が利益率にも表れています。
なお、四半期純利益6億61百万円には、Powerbox International ABの株式譲渡に伴う関係会社整理益3億55百万円が含まれます。営業利益の黒字転換は本業の改善ですが、最終利益まで同じ勢いで伸びたように見える部分には一時要因があるため、ここは切り分けが必要です。
受注高2.5倍、受注残高94.2%増が次の売上を支える
今回の決算で、実績以上に先行きの変化を感じさせるのが受注です。
| 製品区分 | 受注高 | 前年同期比 | 受注残高 | 前年同期比 |
| ユニット電源 | 73億57百万円 | +219.2% | 81億72百万円 | +144.3% |
| オンボード電源 | 32億45百万円 | +135.3% | 42億67百万円 | +156.2% |
| ノイズフィルタ | 7億47百万円 | +191.2% | 7億16百万円 | +257.5% |
| PRBX製品 | 16億50百万円 | +42.4% | 47億41百万円 | +18.4% |
| 合計 | 130億1百万円 | +154.9% | 178億98百万円 | +94.2% |
主力のユニット電源では、受注高が前年同期の3倍を超え、売上高も77.7%増えました。オンボード電源とノイズフィルタも受注・売上がそろって回復しています。会社が挙げている背景は、AI・デジタル化に伴うデータセンター関連投資と、半導体製造装置需要の急速な持ち直しです。
ここで大切なのは、受注残高178億98百万円が将来の売上を保証するわけではないものの、需要回復の厚みを示す材料にはなることです。第1四半期の売上高78億14百万円に対して受注残高は約2.3倍あります。今後は、この受注を無理なく生産・出荷し、利益を伴う売上へ変えられるかが焦点になります。
日本・北米・アジアが回復する一方、欧州は赤字が続く
地域別では、日本生産販売事業の外部売上高が前年同期比81.3%増の48億6百万円となり、セグメント損益も2億91百万円の赤字から5億35百万円の黒字へ転換しました。今回の全社利益回復を支えた中心です。
北米も売上高が81.5%増え、セグメント損益は15百万円の赤字から80百万円の黒字へ改善しました。アジア販売事業は売上高56.4%増、セグメント利益は約3.5倍、中国生産事業も黒字へ戻っています。需要回復は日本だけに限られていません。
一方、欧州販売事業の売上高は0.3%減とほぼ横ばいで、セグメント損失は前年同期の1億84百万円から2億7百万円へ拡大しました。全体としては鮮明な回復局面ですが、地域別に見ると欧州だけはまだ回復を確認できていないという濃淡があります。
通期予想を上方修正、年間60円配当は据え置き
営業利益予想を13億35百万円から23億円へ引き上げ
会社は第1四半期の実績と受注環境を踏まえ、同日に中間期・通期予想を上方修正しました。
| 項目 | 従来予想 | 修正後予想 | 修正率 | 前期比 |
| 売上高 | 288億75百万円 | 318億円 | +10.1% | +27.0% |
| 営業利益 | 13億35百万円 | 23億円 | +72.3% | 黒字転換 |
| 経常利益 | 15億39百万円 | 24億円 | +55.9% | +798.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 16億4百万円 | 26億円 | +62.1% | 黒字転換 |
| 1株当たり当期純利益 | 38.99円 | 63.21円 | +62.1% | ― |
売上高の修正率が10.1%であるのに対し、営業利益は72.3%引き上げられています。売上数量の増加だけでなく、増収による採算改善を会社が従来より強く見込む内容です。
ただし、純利益予想にはPowerboxの株式譲渡に伴う追加の関係会社整理益も織り込まれています。また、Powerboxとその子会社は第2四半期から連結対象外となるため、今後の売上高は事業売却前と単純比較しにくくなります。通期の着地を見る際は、営業利益と最終利益を同じ理由で評価しないことが大切です。
第1四半期の営業利益は中間期予想の56.2%まで進捗
修正後の中間期予想に対する進捗率は、売上高50.8%、営業利益56.2%、経常利益56.3%です。中間期営業利益9億70百万円に対し、第2四半期に必要な利益は4億25百万円となります。第1四半期の5億45百万円をやや下回る水準です。
通期予想に対する進捗率は、売上高24.6%、営業利益23.7%、経常利益24.2%でした。第1四半期としてはおおむね4分の1の位置にありますが、受注残をいつ出荷できるか、Powerboxの連結除外後に利益構成がどう変わるかで進み方は変わります。
配当予想は、中間30円・期末30円の年間60円で据え置かれました。前期の55円からは5円の増配予定です。業績予想を上方修正しても配当は追加で引き上げていないため、次回以降は利益の進捗だけでなく、会社が年間60円をどのように位置づけるかも確認したいところです。
今後の注目ポイント
急増した受注を売上と利益へ変えられるか
受注高130億1百万円、受注残高178億98百万円という数字は、今回の回復が一四半期の売上だけでは終わらない可能性を示しています。特にユニット電源、オンボード電源、ノイズフィルタは受注の伸びが大きく、半導体製造装置向け需要の回復がどこまで続くかが重要です。
一方で、会社は需要の急増により、メモリーやプリント基板など一部部材の供給面に懸念があるとしています。受注が多くても部材がそろわなければ、売上計上の時期は後ろへずれます。次回決算では、受注残の増減だけでなく、売上への転換速度と粗利益率を合わせて確認したいです。
Powerbox売却後の収益構造と欧州赤字を確認
Powerbox株式の譲渡は2026年9月1日に完了し、第2四半期から同社と子会社は連結対象外になります。第1四半期のPRBX製品売上高は12億26百万円ありました。今後はこの売上が外れる一方、グループ全体の採算や固定費構造がどう変わるかを見ていく必要があります。
また、欧州販売事業は売上が伸びず、赤字幅も拡大しました。全社の受注が急増しているからこそ、欧州の立て直しが進むのか、それとも日本・北米・アジアとの地域差が残るのかが見えやすくなります。
部材価格と人件費の上昇を吸収できるか
今四半期は売上総利益率が改善し、材料価格や人件費の上昇を増収効果で吸収できました。ただ、コスト上昇そのものが解消したわけではありません。
売上の回復が続けば利益率の改善余地はありますが、部材不足による生産制約や仕入価格の上昇が強まれば、受注の伸びほど利益が増えない可能性もあります。次回は、売上高だけでなく売上総利益率と営業利益率が維持されるかを確認したいです。
今回のように、黒字転換だけでなく受注残、利益率、一時利益まで分けて読むと、決算の見え方は変わります。自分で企業分析を行うための考え方を体系的に学びたい方は、株式投資スクールの無料体験セミナーも選択肢の一つです。
まとめ
コーセルの2027年5月期第1四半期は、半導体製造装置向けを中心とする需要回復によって売上高が54.0%増え、営業損益は5億45百万円の黒字へ転換しました。受注高が約2.5倍、受注残高が94.2%増となり、会社が通期予想を上方修正したことまで含めると、回復の手応えは強まっています。
その一方、最終利益にはPowerbox再編に伴う特別利益が含まれ、第2四半期から連結範囲も変わります。今後の見方を左右するのは、急増した受注を高い利益率で売上へ変えられるか、欧州の赤字と部材調達の懸念を抑えられるかです。次回は営業利益の伸びと受注残の消化を中心に追っていきます。
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本記事は投資判断を推奨するものではありません。
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