決算分析【日本スキー場開発(6040)】インバウンド過去最高でも営業減益、その中身とは?
日本スキー場開発(6040)が2026年7月期第3四半期決算を発表しました。
売上高は過去最高を更新した一方で、営業利益は前年同期比で減益となりました。しかし決算内容を詳しく確認すると、事業環境の悪化による減益ではなく、将来の成長に向けた積極投資が利益を押し下げたことが分かります。
また、白馬エリアを中心としたインバウンド需要は過去最高を更新しており、同社が描く成長シナリオは依然として順調に進んでいます。
2026年7月期第3四半期決算
まずは決算の全体像を確認します。
| 項目 | 2026年7月期3Q | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 99.77億円 | +8.9% |
| 営業利益 | 27.19億円 | ▲4.5% |
| 経常利益 | 27.35億円 | ▲3.7% |
| 親会社株主帰属純利益 | 22.28億円 | +16.6% |
売上高は前年同期比8.9%増となり、第3四半期時点としては過去最高水準となりました。
一方で営業利益と経常利益は減益となっています。しかし、この数字だけを見て業績が悪化したと判断するのは早計です。
実際には売上成長が続くなかで将来の成長投資を積極的に実施しており、その費用負担が利益を圧迫した構図となっています。
インバウンド需要が過去最高を更新
今回の決算で最も注目すべきポイントは、訪日外国人客の増加です。
2025-2026シーズンのインバウンド来場者数は54.3万人となり、前年の44.0万人から23.3%増加しました。
特に白馬エリアの伸びが顕著です。
| スキー場 | 前年比 |
|---|---|
| 白馬八方尾根 | 104.2% |
| 白馬岩岳 | 138.9% |
| 栂池高原 | 149.2% |
日本スキー場開発は以前から白馬エリアへの投資を続けてきましたが、その成果が数字として表れています。
海外では「HAKUBA」のブランド力が年々高まっており、豪州やアジア圏を中心に観光客が増加しています。
特に白馬岩岳や栂池は成長率が非常に高く、今後も同社の業績を牽引する存在となりそうです。
雪不足でも来場者数は高水準を維持
今シーズンは全国的に雪不足の影響がありました。
11月下旬にはオープンできたものの、その後は気温上昇の影響で全面滑走が可能になったのは1月中旬でした。
それにもかかわらず、グループ全体の来場者数は188万人となり、前年の188.6万人とほぼ同水準を維持しています。
| 項目 | 2025年4月末累計 | 2026年4月末累計 |
|---|---|---|
| 来場者数 | 188.6万人 | 188.0万人 |
この背景には人工降雪機への継続投資があります。
同社は近年、暖冬や少雪リスクへの対策として人工降雪設備を積極的に導入してきました。今シーズンも川場スキー場や栂池高原を中心に人工降雪機が稼働し、雪不足の中でも長距離滑走コースを維持することに成功しています。
気候変動リスクが高まる中で、この取り組みは大きな競争優位性になるでしょう。
来場者数よりも注目したい「客単価の上昇」
今回の決算で見逃せないのが客単価の上昇です。
同社は単に来場者数を増やすだけではなく、一人当たり売上を高める施策を進めています。
リフト券の価格改定に加え、レストランの高付加価値化や専用ラウンジを利用できる「S-Class」の導入など、富裕層やインバウンド需要を取り込む施策を展開しています。
その結果、売上単価は過去最高水準を更新しました。
来場者数が横ばいにもかかわらず売上高が大きく伸びているのは、この客単価向上戦略が成功しているためです。
今後もインバウンド比率が高まることで、さらなる収益性向上が期待できそうです。
営業利益が減益となった本当の理由
売上高が増加しているにもかかわらず営業利益は4.5%の減益となりました。
その理由は事業不振ではありません。
最大の要因は減価償却費の増加です。
| 項目 | 前年同期 | 今期 |
|---|---|---|
| 減価償却費 | 7.21億円 | 9.05億円 |
約1.8億円の増加となっています。
これは白馬岩岳の新ゴンドラや各スキー場への設備投資が本格的に費用化されたためです。
また販売費及び一般管理費も増加しており、将来の成長に向けた投資負担が利益を圧迫しました。
つまり今回の営業減益は、成長が止まったからではなく、成長を加速させるための投資によるものと考えられます。
純利益増加は土地売却益が寄与
親会社株主に帰属する四半期純利益は22.28億円となり、前年同期比16.6%増となりました。
ただし、この増益には特殊要因があります。
岩岳リゾート山麓の土地売却に伴い約11億円の固定資産売却益を計上したためです。
そのため利益の実力値を確認する際は、純利益より営業利益や経常利益を重視する必要があります。
投資家としては一時的な特別利益よりも、本業の成長性を見極めることが重要でしょう。
白馬の宿泊不足は新たな成長機会
今回の決算資料で特に注目したいのが不動産事業への取り組みです。
白馬エリアではインバウンド需要の急増に対して宿泊施設が不足しています。
同社はこの課題を解決するため、宿泊施設やシャレーの開発を本格化させる方針を示しました。
これまでの日本スキー場開発はスキー場運営会社というイメージが強い企業でした。
しかし今後は宿泊施設や不動産開発を含めた総合リゾート企業へ変化していく可能性があります。
もし宿泊事業が軌道に乗れば、リフト券収入だけに依存しない収益モデルを構築できるでしょう。
NSDアライアンス拡大も見逃せない
同社は自社スキー場の運営だけでなく、他スキー場への経営支援事業も強化しています。
「NSDアライアンス」には、みやぎ蔵王えぼしリゾートやオグナほたかスキー場などが参加しています。
またキッズプログラムの提携先も14施設まで拡大しました。
これは単なる社会貢献活動ではありません。
将来的にはコンサルティング収入や運営受託事業の拡大につながる可能性があります。
国内スキー業界全体の活性化を進めながら、自社の収益機会も増やす戦略といえるでしょう。
通期業績予想の達成可能性
会社予想は据え置かれています。
| 項目 | 通期予想 | 3Q実績 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 114.8億円 | 99.8億円 | 86.9% |
| 営業利益 | 23.0億円 | 27.2億円 | 118.2% |
| 純利益 | 24.7億円 | 22.3億円 | 90.2% |
営業利益は第3四半期時点で通期計画を上回っています。
同社の業績は季節性が強いため単純比較はできませんが、現状を見る限り通期業績には上振れ余地があると考えられます。
投資家目線での評価
今回の決算は営業減益という見出しだけを見ると物足りなく感じるかもしれません。
しかし中身を精査すると印象は大きく変わります。
インバウンド来場者数は過去最高を更新し、来場者数は雪不足でも高水準を維持しました。さらに客単価は上昇し、将来の成長に向けた設備投資も継続しています。
短期的な利益成長は鈍化しているものの、事業基盤はむしろ強化されていると評価できます。
白馬エリアのブランド力向上や宿泊施設開発が進めば、中長期的な成長余地はさらに広がるでしょう。
まとめ
日本スキー場開発の2026年7月期第3四半期決算は、売上高が過去最高を更新する好決算となりました。
営業利益は減益でしたが、その要因は将来成長に向けた積極投資によるものです。
特にインバウンド来場者数は過去最高を更新しており、白馬エリアの成長は依然として続いています。
また、不動産開発やNSDアライアンスの拡大など、新たな成長ドライバーも見え始めました。
短期的な利益だけでなく、中長期の成長ストーリーに注目したい決算だったといえるでしょう。
本記事は投資判断を推奨するものではありません。
最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
