【AVANTIA(8904)】営業利益761.8%増でも進捗21.5%|受注残と在庫を検証
AVANTIA(8904)が2026年7月14日に発表した2026年8月期第3四半期決算は、売上高が前年同期比5.7%減少する一方、営業利益は同761.8%増となりました。
大幅増益の中心は分譲事業の赤字解消です。ただし、営業利益の通期進捗率は21.5%にとどまり、3Q単独では減益となっています。増益率の大きさだけでなく、通期達成に必要な利益、受注残、在庫と金利負担を併せて確認すべき決算です。

売上高5.7%減、営業利益761.8%増!2026年8月期第3四半期決算を解説
売上高は減少しましたが、売上原価の改善によって粗利益が増え、営業利益が回復しました。
| 項目 | 2026年8月期3Q累計 | 前年同期 | 前年同期比 | 通期予想/進捗率 |
| 売上高 | 410億3,340万円 | 435億3,515万円 | -5.7% | 720億円/57.0% |
| 営業利益 | 4億808万円 | 4,735万円 | +761.8% | 19億円/21.5% |
| 経常利益 | 1億5,398万円 | -4,401万円 | 黒字転換 | 16億円/9.6% |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 3億5,087万円 | -1億4,043万円 | 黒字転換 | 12億円/29.2% |
| 1株当たり四半期純利益 | 24.24円 | -9.76円 | 黒字転換 | 82.86円 |
売上総利益は前年同期の56億1,258万円から61億2,417万円へ9.1%増加しました。売上総利益率は約12.9%から約14.9%へ、約2.0ポイント改善しています。
販管費は55億6,523万円から57億1,608万円へ約1億5,085万円増えましたが、粗利益の増加額約5億1,158万円が上回りました。その結果、営業利益は約3億6,073万円増加し、営業利益率は約0.1%から約1.0%へ上昇しています。
もっとも、761.8%増という高い伸び率には、前年同期の営業利益が4,735万円と低水準だった反動があります。利益率はなお1%程度であり、利益水準そのものが盤石になったわけではありません。
分譲事業の赤字解消が全社利益を押し上げ
今回の営業利益回復を支えた最大の要因は、主力の分譲事業です。
| 事業 | 売上高 | 前年同期比 | セグメント利益・損失 | 前年同期 |
| 分譲事業 | 291億7,760万円 | -3.8% | 908万円 | -11億4,466万円 |
| 請負事業 | 48億4,652万円 | -7.4% | 5,913万円 | 2億1,268万円 |
| 不動産流通事業 | 58億5,673万円 | -12.5% | -4,573万円 | 6億9,128万円 |
| その他の事業 | 11億5,254万円 | -10.1% | 2億2,457万円 | 2億7,766万円 |
分譲事業は売上高が減少したものの、前年同期の11億円超の営業損失から小幅黒字へ転換しました。受注・引き渡し件数に回復傾向が見られ、採算改善が全社利益を押し上げた形です。
一方、不動産流通事業は、前年同期に集中した高額物件の販売が減り、6億9,128万円の黒字から4,573万円の赤字へ悪化しました。請負事業とその他事業も減収減益です。
したがって、今回の増益はグループ全体の成長ではなく、分譲事業の大幅な損益改善が中心と整理できます。今後は分譲事業が小幅黒字から十分な利益を確保できるか、不動産流通事業が赤字から戻せるかが焦点です。
3Q単独では売上・利益ともに減速
累計値だけでは直近の勢いを把握しにくいため、中間期との差額から3Q単独を確認します。以下は会社開示の累計値を基にした計算値です。
| 項目 | 2026年8月期3Q単独 | 前年3Q単独 | 前年同期比 |
| 売上高 | 約155億900万円 | 約165億5,953万円 | 約-6.3% |
| 営業利益 | 約1億4,250万円 | 約2億6,439万円 | 約-46.1% |
| 経常利益 | 約4,027万円 | 約2億384万円 | 約-80.2% |
| 親会社株主帰属利益 | 約-702万円 | 約1億9,046万円 | 赤字転換 |
3Q単独の営業利益率は約0.9%で、前年同期の約1.6%を下回りました。累計では大幅増益ですが、直近3カ月では増益の勢いが続いていません。
さらに、3Q累計の支払利息は前年同期の2億5,692万円から3億6,296万円へ約41.3%増加しました。営業利益4億808万円の大部分が金利負担で削られ、経常利益は1億5,398万円にとどまっています。
純利益の黒字化には子会社株式売却益が寄与
親会社株主に帰属する四半期純利益は3億5,087万円の黒字となりましたが、特別利益として子会社株式売却益3億7,079万円を計上しています。
この売却益は本業から継続的に生じる利益ではありません。3Q単独の親会社株主帰属利益も約700万円の赤字だったため、純利益の黒字化だけで収益力が十分に回復したとは判断できません。
投資家としては、営業利益と経常利益の推移を中心に確認し、子会社株式売却益を除いた利益の持続性を見る必要があります。
通期業績予想・配当を確認
受注残は増加したが、通期達成には4Q偏重が必要
受注高は508億2,333万円で前年同期比7.8%増、受注残高は240億8,761万円で同19.3%増となりました。
| 事業 | 受注残高 | 前年同期比 |
| 分譲事業 | 182億1,280万円 | +31.7% |
| 請負事業 | 42億3,656万円 | -22.1% |
| 不動産流通事業 | 13億2,759万円 | +108.0% |
| その他の事業 | 3億1,066万円 | +10.0% |
主力の分譲事業で受注残が31.7%増えたことは、今後の引き渡しと売上につながる可能性があります。ただし、受注残は利益を保証するものではありません。引き渡し時期、販売価格、建築コスト、キャンセルの有無によって採算は変動します。
会社は通期予想を据え置きましたが、3Q終了時点の進捗率は低い水準です。
| 項目 | 通期予想 | 3Q累計 | 進捗率 | 4Qに必要な金額 |
| 売上高 | 720億円 | 410億3,340万円 | 57.0% | 309億6,660万円 |
| 営業利益 | 19億円 | 4億808万円 | 21.5% | 14億9,192万円 |
| 経常利益 | 16億円 | 1億5,398万円 | 9.6% | 14億4,602万円 |
| 親会社株主帰属利益 | 12億円 | 3億5,087万円 | 29.2% | 8億4,913万円 |
4Qに必要な営業利益は約14億9,192万円で、3Q単独の約1億4,250万円の10倍を超えます。不動産会社は物件の引き渡し時期により業績が偏るものの、通期達成には受注残の引き渡しと大幅な採算改善を同時に実現する必要があります。
配当予想は年間38円で据え置き
| 決算期 | 中間配当 | 期末配当 | 年間配当 |
| 2025年8月期 | 19円 | 19円 | 38円 |
| 2026年8月期予想 | 19円 | 19円 | 38円 |
2026年8月期の年間配当予想は1株38円で、今回の修正はありません。配当維持を評価する際は、配当額だけでなく、通期利益の達成状況と在庫投資後のキャッシュフローも併せて確認することが重要です。
今後の注目ポイント
棚卸資産の増加と資金負担に注意
2026年5月末の棚卸資産は合計約502億6,347万円となり、前期末から約103億7,559万円増えました。特に開発事業等支出金は189億5,870万円から283億7,892万円へ拡大しています。
一方、現金預金は182億7,588万円から94億7,952万円へ約87億9,637万円減少しました。短期借入金は1億6,481万円増の220億3,074万円です。長期借入金や社債を含む有利子負債全体は小幅減ですが、現金の減少と在庫の増加は軽視できません。
中間期の営業キャッシュフローは35億4,828万円のマイナスで、棚卸資産の増加が主因でした。3Q累計のキャッシュフロー計算書は作成されていないため、5月末までに改善したかは確認できません。
在庫増加が将来の引き渡しにつながれば売上の源泉になりますが、販売が遅れれば資金拘束と金利負担が続きます。 次回決算では、在庫回転、営業キャッシュフロー、支払利息をセットで確認したいところです。
まとめ
AVANTIAの2026年8月期3Q累計は、売上高5.7%減、営業利益761.8%増となりました。分譲事業が11億円超の赤字から小幅黒字へ転換し、粗利益率が約2.0ポイント改善したことが大幅増益の主因です。
一方、不動産流通事業は赤字へ転落し、3Q単独の営業利益も約46%減少しました。累計純利益には子会社株式売却益3億7,079万円が含まれます。さらに、通期営業利益の進捗率は21.5%で、4Qに約14.9億円の営業利益が必要です。
受注残高19.3%増は前向きな材料ですが、在庫増加、現金減少、支払利息の増加も進んでいます。今回の決算は、分譲事業の回復は確認できたものの、通期達成と資金負担には慎重な確認が必要と整理できます。
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本記事は投資判断を推奨するものではありません。
最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
