【SMK(6798)】黒字転換は続く?車載・再エネ需要と赤字部門の改善を確認
SMKの黒字転換を見るときは、どの製品が売れたかに加えて、赤字だった部門がどこまで改善したかを確認したいところです。2027年3月期中間期は、車載用や再生可能エネルギー向けのコネクタが伸び、リモコンなどを扱う部門の損失も縮小しました。
2026年10月30日発表の売上高は247.93億円、営業利益は3.97億円です。前年同期の営業赤字から回復しています。ただし、上期の黒字の多くは7~9月に生まれたもので、通期予想は据え置かれました。回復の中身と、下期に必要な条件を整理します。
黒字転換はSCIの損失縮小が大きい
今回の利益改善は、コネクタ事業の利益急増というより、SCI事業の赤字縮小が大きく寄与しています。 黒字になったという結論だけでなく、その中身を確かめると、次に追うべき場所も見えてきます。
| 項目 | 前年中間期 | 当中間期 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 231.52億円 | 247.93億円 | +7.1% |
| 営業利益 | △1.17億円 | 3.97億円 | 黒字転換 |
| 経常利益 | △1.25億円 | 5.61億円 | 黒字転換 |
| 親会社株主帰属中間純利益 | △1.93億円 | 2.57億円 | 黒字転換 |
| 営業利益率 | 約△0.5% | 約1.6% | 約2.1ポイント改善 |
車載と再エネが売上を押し上げる
CS事業では、車載カメラ、バッテリー、電装などのコネクタが伸び、産機市場では再生可能エネルギー関連が拡大しました。一方、スマートフォンやタブレット向けは減少しています。
情報通信向けの回復を待つだけでなく、違う用途で売上を積み上げている点は前向きです。ただし、業界全体でAI関連投資が増えているという説明と、SMK自身の売上増の理由は分ける必要があります。今回、会社が具体的に挙げた増収分野は、車載や再エネ関連などです。
| セグメント | 当中間期売上高 | 前年営業利益 | 当中間期営業利益 |
|---|---|---|---|
| CS事業 | 125.00億円 | 6.60億円 | 6.68億円 |
| SCI事業 | 122.77億円 | △5.33億円 | △1.31億円 |
| イノベーションセンター | 0.15億円 | △2.44億円 | △1.39億円 |
売上が伸びたCSより、SCIの改善幅に注目
CS事業は12.7%増収でしたが、営業利益は1.1%増にとどまりました。売上が増えた分だけ利益が大きく伸びたわけではありません。
一方、SCI事業はサニタリー用・エアコン用リモコン、車両用カメラモジュールなどが伸び、固定費削減や原価率改善も進みました。営業損失は5.33億円から1.31億円へ縮小しています。この改善幅は、表示額を差し引くと約4.02億円です。
連結営業損益の改善は表示額ベースで約5.14億円なので、SCIの損失縮小が大部分を占める計算になります。会社説明資料の増減額は、端数処理前の数値によるため5.15億円とされています。イノベーションセンターの赤字も縮小し、全体の黒字化を後押ししました。
つまり、次に見たいのは「主力が売れているか」だけではなく、改善した部門が黒字を定着させられるかです。
営業利益、経常利益、部門ごとの損失を読み分ける際、用語の理解を補いたい方は、教材と併用するファイナンス用語の学習補助ツールも確認できます。
7~9月の改善と為替の負担を見分ける
四半期ごとの動きでは、4~6月の営業利益が0.06億円だったのに対し、7~9月は3.91億円となりました。SCI事業も7~9月には0.57億円の営業黒字となっています。中間期の黒字は、後半3か月の改善によるところが大きいと分かります。
車載用コネクタや再エネ関連に加え、リモコンやカメラモジュールの販売増も寄与しました。ただし、直近3か月の利益をそのまま年率換算して、通期の上振れを見込むのは早いでしょう。製品構成や為替は下期も変動します。
会社の利益増減分析では、売上増の押上げがある一方、為替によるコスト負担も示されています。人民元・マレーシアリンギット高などを含めた為替の営業利益への影響は、合計で約2.96億円のマイナスでした。円換算の売上が増えても、生産拠点側の費用まで有利になるとは限りません。
さらに、構造改革などによる固定費削減効果があっても、為替影響を含む固定費全体では前年より増えています。「固定費を減らした」という説明だけを取り出すと、実際の費用負担を読み違えます。改善施策が逆風を補い、黒字化につながったと見るのが自然です。
上期が計画を超えても通期予想は据え置き
上期営業利益は期初予想の2億円を上回りましたが、通期の営業利益予想8億円は変わりませんでした。
| 項目 | 通期会社予想 | 上期実績 | 下期に必要な額(当方計算) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 490億円 | 247.93億円 | 242.07億円 |
| 営業利益 | 8億円 | 3.97億円 | 4.03億円 |
| 経常利益 | 12億円 | 5.61億円 | 6.39億円 |
| 親会社株主帰属利益 | 8億円 | 2.57億円 | 5.43億円 |
会社は、下期の売上が上期よりやや減少する一方、売価アップなどの原価率改善で上期並みの利益を確保する見通しです。営業利益の進捗率は約49.6%で、残りもほぼ同額が必要となります。
純利益の進捗は約32.1%と営業利益より低く、上期には投資有価証券売却益1.75億円や税負担も含まれています。営業利益の回復を、そのまま最終利益の達成へ読み替えず、営業外損益や税金も確認したいところです。
| 1株当たり配当 | 前期実績 | 当期の公表額 |
|---|---|---|
| 中間 | 50円 | 50円(正式決議前) |
| 期末 | 50円 | 50円(予想) |
| 年間 | 100円 | 100円(予定・予想) |
中間配当は、11月25日開催予定の取締役会で、臨時計算書類の承認後に正式決定する予定です。11月1日の確認時点では決定済みとは扱いません。年間100円と予想EPS126.41円から計算した配当性向は約79.1%で、利益に対する配当の比重は小さくありません。
次はSCIの黒字定着と資金の動きを確認
次回の焦点は、SCI事業が7~9月の黒字を維持できるかです。車載カメラやリモコンの需要が続き、売価の見直しが原価率を改善すれば、回復の確かさも増します。逆にCSの増収が利益へつながらない状態が続く場合は、製品構成と生産コストを見直す必要があります。
受注高は261.18億円で前年同期比9.4%増でした。モビリティ、産機・その他が伸びる一方、情報通信は減少しており、需要回復には濃淡があります。受注がその後の売上と利益へ変わるかを、同じ市場区分で追いたいところです。
資金面では、営業CF18.07億円に対し投資CFは8.91億円の支出で、両者を合計した簡易フリーCFは9.16億円でした。ただし営業CFの改善には、構造改革費用の支払減少も含まれます。在庫も増えているため、利益の回復だけでなく、在庫と資金回収のバランスも確認したい局面です。
黒字転換銘柄では、改善の勢いと継続条件を一緒に見ることが大切です。銘柄選びやリスク管理の基礎を体系的に整理したい方は、無料体験の内容も確認できます。
まとめ
SMKの黒字転換は、車載・再エネ関連の販売増に、SCI事業などの損失縮小が重なった結果です。とくに7~9月はSCIも黒字となり、回復の動きが見られました。
ただし、CSの増収ほどには利益が伸びておらず、為替も収益の負担になっています。今後はSCIの黒字定着、売価見直しの効果、受注の売上転換を確かめたいところです。年間100円配当も、利益の回復と合わせて見ていく必要があります。
この記事は情報提供を目的としており、投資判断はご自身の責任で行ってください。

