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【野村総合研究所(4307)】金融IT・セキュリティの成長は続く?利益率改善と増配を確認

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野村総合研究所の利益成長を支えているのは、AIへの期待だけではありません。金融機関のシステム開発・運用と、企業のセキュリティ対策という実際の仕事が増え、売上の伸びを上回る増益につながっています。

2026年10月29日に発表した2027年3月期中間期は、売上収益が前年同期比8.3%増、営業利益が12.0%増でした。通期予想と年間配当予想も引き上げています。ただし、コンサルティングは減益で、海外の回復もまだ途上です。今回は、伸びている事業と収益性の差を確かめながら、下期に何を確認したいかを考えます。

この記事で分かること
  • 金融ITとIT基盤サービスが増益を支えた理由
  • AI活用の需要と、足元の利益改善をどう分けて見るか
  • 上方修正・年間88円配当と、今後の確認点
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金融ITとIT基盤の増益が利益率を押し上げる

今回の好調さは、需要の拡大が利益率の改善までつながった点にあります。 売上収益だけが増えたのではなく、営業利益率も前年同期の19.8%から20.5%へ上昇しました。

項目前年中間期当中間期前年同期比
売上収益3,970.65億円4,299.06億円+8.3%
営業利益787.99億円882.72億円+12.0%
税引前中間利益794.56億円897.03億円+12.9%
親会社所有者帰属中間利益535.65億円600.14億円+12.0%
営業利益率19.8%20.5%+0.7ポイント

対象期間はいずれも4~9月です。IFRSのため、日本基準の経常利益ではなく税引前中間利益を掲載しています。

金融機関の開発と運用が利益の柱

金融ITソリューションの営業利益は423.17億円で17.7%増加しました。金融業全般向けの売上が伸び、良好な受注環境と運用サービスの増加が収益性を押し上げています。

システムを新しく作る仕事に加えて、稼働後に安定して動かし続ける仕事も増えていることがポイントです。開発案件だけに頼るより収益の接点が広がります。ただし、運用売上があるから将来利益まで確定するわけではなく、案件の採算や更新状況も見続ける必要があります。

IT基盤サービスの営業利益も227.12億円へ17.8%増加しました。デジタルセキュリティと、企業の働く環境を整えるデジタルワークプレイスが好調です。売上増を利益へつなげられている二つの事業が、全社の増益を支えました。

セグメント当中間期売上収益当中間期営業利益営業利益の前年同期比
コンサルティング331.92億円77.84億円△6.8%
金融ITソリューション2,445.39億円423.17億円+17.7%
産業ITソリューション1,183.10億円149.24億円+0.5%
IT基盤サービス1,191.98億円227.12億円+17.8%

売上収益は内部取引を含むため、単純合計は連結売上収益と一致しません。豪州子会社の区分変更後の比較数値です。

AI需要が増えても、すべての部門が増益とは限らない

一方、コンサルティングは増収でも減益でした。一部案件の縮小で稼働率が下がったことが理由です。産業ITソリューションも増収率5.1%に対し、営業利益の伸びは0.5%にとどまっています。

ここから分かるのは、AI需要の強さと、会社が利益を残せるかは別に確認したいということです。顧客の相談が増えても、人員の稼働や案件構成によって利益率は変わります。全社の好調さを、そのまま全事業の好調さへ広げない読み方が必要です。

営業利益率やセグメント利益を読み分けたいときは、教材と併用できる用語確認の補助ツールも役立ちます。

AI活用は受注と開発効率の両面で確認する

NRIにとってAIは、顧客へ導入を提案するサービスであると同時に、自社の開発工程を変える道具でもあります。顧客が既存システムをAIの使える状態へ整えることは、新たな開発・基盤整備の需要になります。一方、自社でAIを活用して開発を効率化できれば、同じ案件でも投入する工数を抑えられる可能性があります。

会社の説明資料では、AIを使った開発手法の展開を前倒しする方針が示されています。ただし、AIによる利益寄与額が独立して示されているわけではありません。金融ITの増益を、すべてAI効果と呼ぶのは行き過ぎでしょう。

足元の成果は、システム開発・運用とセキュリティ需要の拡大として読み、その先の効率改善は実際の利益率で確かめる。この順番なら、成長期待と現在の業績を混同せずに追えます。

上方修正は前年の減損を除いた比較も見る

通期の営業利益予想は1,750億円から1,800億円へ引き上げられました。上期の実績と足元の受注環境を反映した修正です。

通期会社予想前回予想今回予想
売上収益8,500億円8,700億円
営業利益1,750億円1,800億円
税引前利益1,770億円1,820億円
親会社所有者帰属利益1,190億円1,230億円

営業利益の進捗率は約49.0%です。修正後計画に届くには、下期に917.28億円の営業利益が必要で、上期より約3.9%多い水準となります。これは当方計算であり、会社が下期利益を保証した数字ではありません。

通期の営業利益は前年比208.9%増という大きな伸びを見込みますが、前期は海外事業ののれん減損などで利益が押し下げられていました。会社が示す前期の減損損失等を除いた参考値との比較では、今回計画の営業増益率は14.9%です。「利益が3倍になる」という表面の数字より、通常の稼ぐ力がどれほど伸びるかを見たいところです。

配当は期末予想を4円増やし、年間88円へ修正しました。

1株当たり配当前期実績当期実績・予想
中間35円42円
期末42円46円(予想)
年間77円88円(予想)

連結配当性向40%を目安とする方針に沿った増配です。前回の年間84円予想から4円、前期実績からは11円増となります。

次は国内の利益率と海外の回復を確認

次回は、金融ITとIT基盤サービスの利益率改善が続くかに注目します。同時に、コンサルティングの稼働率が戻るか、産業ITの増収が増益へ結び付くかも外せません。主力二部門が伸びるだけでなく、改善が他の事業へ広がると、利益成長の土台も厚くなります。

海外事業については、北米の営業赤字が残ります。国内の伸びに隠れやすい部分ですが、過去に大きな減損が発生した経緯もあるため、売上回復だけで判断せず、現地の収益性を追う必要があります。

資金面では、営業キャッシュフローは945.34億円と増加しました。一方、投資キャッシュフローのプラスには定期預金の払戻しが含まれます。営業CFと投資CFを足した1,222.01億円を、すべて事業の成長から生まれた資金と捉えるのは適切ではありません。自己株式取得や配当にも資金を使っており、成長投資と還元の両立を確認したい局面です。

好調な事業と回復途上の事業が同居する会社を見るときは、成長材料に加えてリスクの確認方法も持っておきたいところです。銘柄選びやリスク管理を体系的に学ぶ入口として、無料体験の内容を確認できます。

まとめ

野村総合研究所の中間期は、金融ITとIT基盤サービスの拡大が、営業利益率の改善につながりました。通期予想と配当の引き上げにも、足元の受注と収益性の強さが表れています。

ただし、AI需要があるから全事業が伸びるわけではありません。今後は、主力二部門の利益率、コンサルティングの稼働率、海外の採算改善を確認することが大切です。減損の反動による大幅増益と、継続的な利益成長を分けながら追っていきたいと思います。

この記事は情報提供を目的としており、投資判断はご自身の責任で行ってください。

ABOUT ME
双樹
双樹
保全士・制御系エンジニア
FIREを目指して株式投資に挑戦し、学びをブログで発信中。

学生時代に取得した機械保全技能検定と第二種電気工事士を活かし、リーマンショック期に保全職として就職。
アベノミクス期に装置メーカーへ転職し制御設計を経験。
コロナ禍では工場勤務に転職し機械や設備の保守・点検やシステム導入に携わっています。

資格
●機械保全技能検定(電気系保全作業)
●第二種電気工事士
●エネルギー管理士
●2級ボイラー技士
●乙種第4類危険物取扱者
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