【日立製作所(6501)】IT・OT・プロダクトをつなぐ社会イノベーション事業
鉄道を安全に運行し、電力網の状態を監視し、工場設備を止めずに動かすには、現場の機械だけでも、情報システムだけでも足りません。センサーや制御装置から得たデータを業務システムへつなぎ、現場の判断へ戻す必要があります。日立製作所(6501)は、このIT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを組み合わせる社会イノベーション事業を展開しています。
日立の事業は巨大ですが、すべてを製品一覧で追うより、現場の設備とデジタルをどうつなぐかを見ると整理しやすくなります。社会インフラのドメイン知識をLumadaへ蓄積し、別の顧客や工程で再利用する流れから事業を見ていきます。
鉄道・電力・工場を動かす現場データ
OTは、鉄道、電力、工場、ビルなどの設備を安全に制御・運用する技術です。日立は長年の社会インフラ事業でOTを蓄積し、業務システムを構築するIT、モーターや制御機器などのプロダクトも持っています。
三つを組み合わせることで、設備を納入するだけでなく、稼働データを収集し、運用を改善し、保守へつなげられます。この一連の提供を社会イノベーション事業として展開しています。
デジタル・エナジー・モビリティ・インダストリーの役割
| 領域 | 主な事業・製品 | 主な顧客 | 解決する課題 |
|---|---|---|---|
| デジタル | Lumada、ITサービス、クラウド・データ基盤 | 企業、公共、金融 | 業務変革、データ活用、システム刷新 |
| グリーンエナジー&モビリティ | 電力網、鉄道システム | 電力会社、鉄道事業者 | 安定供給、脱炭素、安全運行 |
| コネクティブインダストリーズ | 産業機器、制御、ビルシステム | 製造、物流、ビル運営 | 自動化、省エネ、保守高度化 |
| 周辺事業・プロダクト | 開示済みの製品・サービス群 | 企業、社会インフラ事業者 | 現場設備の安定運用 |
これらをつなぐのは、現場設備からデータを取得し、ITで分析し、運用へ戻す循環です。鉄道と工場では扱う設備が違っても、止められない現場をデジタルで改善するという構造は共通します。
現場知識をアセットとして再利用するLumada
Lumadaは単一の製品名ではなく、データとデジタル技術を使って顧客課題を解く事業・ソリューション群です。既存のOTやプロダクトへITを重ね、導入後も運用データを使って改善を続ける役割があります。
ただし、すべての事業が自動的に相乗効果を生むわけではありません。Lumada関連として会社が定義・開示する売上や受注、顧客事例を基に、事業間連携が実際の契約へつながっているかを見る必要があります。
GlobalLogicとHMAXを組み込むデジタル体制
日立は事業の売却・取得を行い、デジタル、エネルギー、モビリティ、産業分野へ経営資源を集中してきました。海外では鉄道、電力網、デジタルエンジニアリングなどの事業を持ちます。
GlobalLogicなどのデジタルエンジニアリング人材は、顧客体験やソフトウェアを設計する上流工程を補います。日立が持つOT・プロダクトの知識と組み合わせ、現場の設備からデジタルサービスまでを一続きで設計する体制へ組み込まれています。
One Hitachiでアセットを別の現場へ運ぶ
鉄道の運行管理と工場の生産管理では業務が異なります。それでも、設備データを収集し、分析し、現場の制御や保守へ戻す工程には共通部分があります。Lumada Solution Hubは、ユースケース、ソリューション、システム構成などをアセットとして蓄積・共有する仕組みです。
日立が「One Hitachi」を掲げるのは、各事業が持つ現場知識を部門内に閉じず、デジタルエンジニアリングやAIと組み合わせるためです。ただし、すべての業務を同じシステムへ統一するという意味ではありません。業種固有の知識を残しながら、再利用できる部分をアセット化する設計です。
まとめ
日立製作所は、鉄道、電力、産業設備などのプロダクトとOTに、ITとデジタルエンジニアリングを組み合わせて社会イノベーション事業を展開しています。
Lumadaは単独のソフトウェア製品ではなく、顧客との協創で得たデータ、技術、業務知識を価値へ変える仕組みとして位置付けられています。現場を動かすプロダクトと、データを扱うデジタルを往復させることが、巨大な日立グループの事業をつなぐ軸です。
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