SaaS関連銘柄まとめ|日本の上場企業を用途別に整理
「SaaS関連株」と聞くと、月額課金のソフトを提供する会社がずらりと並ぶイメージかもしれません。ただ、同じSaaSでも、会計を支えるサービスと、社員のクラウド利用を守るサービスでは、顧客が導入する理由が違います。会社名だけで銘柄を並べても、何を比較しているのか分かりにくいところです。
そこで、この記事では日本の上場企業が提供するサービスを用途別に整理します。個別銘柄の優劣や株価の上昇を予想する記事ではありません。まず全体像をつかみ、気になる領域を詳しく見ていきましょう。
SaaS関連銘柄とは?DXの中で担う役割
SaaSは、インターネット経由でソフトウエアを利用する提供形態です。利用者は事業者が運用するアプリケーションを使い、基盤となるサーバーなどは原則として自分で管理しません。詳しい仕組みは、SaaSの基礎を解説した記事で紹介しています。米国NISTの定義も、提供形態を理解するうえで参考になります。
ここで区別したいのがDXとの関係です。DXは企業の業務や事業を変えていく取り組み、SaaSはその際に使われるソフトウエアの提供形態の一つ。SaaSを導入すれば自動的にDXが完成するわけではありませんが、会計処理や情報共有など、変えたい業務を具体的なサービスに置き換える入口になります。DXという大きなテーマから銘柄を探す場合は、先にDX関連株の全体像を見ると位置づけがつかみやすくなります。
SaaS関連株が注目される理由
SaaSが株式市場で話題になりやすいのは、顧客の日常業務で使われるサービスを継続して提供できるからです。会計や営業を支えるサービスも、社員が使うクラウドを守るサービスも、仕事に組み込まれて初めて価値を発揮します。利用が続くか、新しい顧客にも選ばれるか。そうした積み重ねを追える点が、このテーマを見る面白さでしょう。
ただし、継続利用の仕組みがあることと、利益が着実に増えることは別です。顧客を増やすための費用やサービス開発費もかかります。利用の広がりが収益につながっているかまで見ていきたいところです。
SaaS関連銘柄は用途で分けると見やすい
同じSaaSという言葉でも、顧客が使う目的は一つではありません。ここではサービスが担う仕事を4つに分けました。企業名を順位表にするのではなく、気になる用途から銘柄を探してみてください。
クラウド・セキュリティSaaS|安心して使うための仕組み
企業が複数のクラウドサービスを使うと、誰がどのサービスへアクセスできるかを管理する必要があります。たとえばHENNGEは、「HENNGE One」でアクセス管理などの機能を提供しています。ここでの関心は、ソフトを使って仕事を進めることだけでなく、使える人や情報の扱いを適切に管理することです。この分野の企業を詳しく見るなら、クラウド・セキュリティSaaS関連株まとめをご覧ください。
AI SaaS|業務の中でAIを使う
AI SaaSでは、AIそのものの話題性より、顧客がどの作業で使うかが大切になります。PKSHA TechnologyのAI SaaSには、問い合わせ対応や社内の知識活用を支えるサービスがあります。ただ、AI機能を搭載しただけで利用拡大が決まるわけではありません。どの業務に入り、使い続けられるのかを知りたい方は、AI SaaS関連株まとめへ進んでみてください。
教育SaaS|学ぶ人と教える人、それぞれの課題
教育分野では、学習者向けのサービスと、教室を運営する人向けのサービスを分けて見ると分かりやすくなります。たとえばGlobeeは、英語学習アプリ「abceed」を提供しています。一方、教育事業者の業務管理には別の課題があります。同じ教育関連でも、誰が利用し、何の負担を減らすのかは違うのです。両者の関連銘柄は教育SaaS関連株まとめで確認できます。
業種特化SaaS|人材派遣の業務を支える
SaaSには、幅広い企業に共通する業務を支えるものだけでなく、特定の業界に合わせて作られたものもあります。人材派遣会社なら、派遣スタッフや案件の管理に加え、契約、勤怠、請求までを扱う必要があります。
テクノロジーズ(5248)が提供する「jobs」は、こうした派遣業務をまとめて管理するサービスです。SaaS事業を持つ企業ですが、会社全体をSaaS専業として見るのではなく、ほかの事業と分けて捉えることが大切です。 同社の事業全体とjobsの位置づけは、テクノロジーズ(5248)の事業記事で確認できます。
なお、分野の境界はきっちり分かれるものではありません。教育サービスにAI機能が入ることもあります。分類は企業を一つの箱に閉じ込めるためではなく、読者が知りたい利用場面からたどるためのものです。
SaaS関連銘柄を見るときの注意点
まず、月額・年額などの継続的な利用料が、企業全体の売上のどの部分を占めるのかを確認しましょう。「SaaSを提供している」ことと「売上の大半がSaaS由来である」ことは違います。企業がARR(年間経常収益)や契約数、解約率などを開示している場合は、その定義と推移も確認できます。開示していない指標を、他社と同じ条件で比較できる数字として扱わないことが大切です。
もう一つは、機能が増えたときに既存顧客の利用が深まるのか、開発や販売にかかる費用のほうが大きいのか、という点です。これは企業の決算資料で確かめるべきことで、「AI機能を追加したから収益が伸びる」と先回りして決めつけることはできません。AIエージェントの普及とSaaS株への影響が気になる方は、「SaaSの死」と株価を扱った記事も併せてご覧ください。
まとめ
SaaS関連銘柄を見渡すときは、最初から「どの会社が一番伸びるか」と順位を付けるより、どの顧客の、どんな仕事を支えているかで分けるほうが理解しやすくなります。会計・営業、クラウドセキュリティ、AI、教育、業種特化SaaSでは、同じSaaSでも事業の中身が違うからです。
まずは気になる分野の記事を開き、候補企業の公式サービス情報と決算資料を照らし合わせてみてください。SaaSという看板の先にある、各社の収益の作り方が少しずつ見えてくるはずです。
