【検証】ダイセル決算分析は正しかったのか?IRが示した答え合わせ
前回の決算分析記事で、私はダイセルの決算を「数字ほど悪くない」「来期に向けた構造転換の途中」と評価しました。
一見すると減益決算に見える内容でしたが、セグメント別の中身や設備投資の増加から、来期以降の利益構造が変わる可能性に注目していました。
そして今回発表された第3四半期決算短信。
そこには、前回の分析が正しかったことを示す“答え合わせ”とも言える内容がはっきりと記載されていました。
本記事では、前回の分析内容と今回のIRを照らし合わせながら検証していきます。
前回の記事で書いていたこと
前回の記事はこちらです。
この記事では、以下のポイントを指摘していました。
- 減益はマテリアル市況による一時的なもの
- セイフティ事業は非常に好調
- スマート事業は黒字化の兆し
- 設備投資が増えており投資フェーズに入っている
- ポリプラスチックスの存在が将来の利益構造に大きく関わる
つまり、「表面の数字ではなく、事業構造を見るべき決算」であると評価していました。
今回の決算短信で示された事実
今回の決算短信では、セグメント利益が次のように変化しています。
| セグメント | 前年 | 今期 | 変化 |
|---|---|---|---|
| メディカル・ヘルスケア | 365 | 639 | +75% |
| スマート | ▲555 | 372 | 黒字化 |
| セイフティ | 3,054 | 5,033 | +65% |
| マテリアル | 19,116 | 10,468 | 市況悪化 |
| エンプラ | 20,559 | 15,305 | 減価償却増 |
減益の主因はマテリアル市況のみであり、その他の事業はむしろ大きく伸びていることがわかります。
これは、前回記事で指摘した内容と完全に一致します。
設備投資とBSが示す「来期型」
貸借対照表を見ると
- 建設仮勘定の大幅増加
- 機械装置の増加
- 長期借入金の増加
これは典型的な「利益を犠牲にして来期の生産体制を整えている企業」の動きです。
前回の記事で触れた「投資フェーズ」という読みも、今回の数字で裏付けられました。
決定的だったIR:ポリプラスチックス吸収分割
今回の決算短信で最も重要だったのは、後半に記載されたこの内容です。
ポリプラスチックスの全事業をダイセル本体へ吸収(2026年4月1日)
ポリプラスチックスは単体でも高収益企業であり、これを本体に統合することで
- セイフティ・マテリアルとの連携強化
- テクニカルサービスの共有
- コーポレート機能の効率化
が明記されています。
これはまさに、前回記事で述べた「将来の利益構造転換」を会社が公式に発表した内容です。
なぜこの読みができたのか
ポイントは一つです。
決算の数字ではなく、セグメントとBSを見ること。
減益=悪い決算
ではなく
「どの事業が悪く、どの事業が伸びているのか」
「会社は今どこにお金を使っているのか」
これを見ることで、来期の姿が見えてきます。
検証結果
前回の決算分析で述べた
- 減益は本質ではない
- セグメントを見るべき
- 投資フェーズに入っている
- ポリプラスチックスが鍵になる
これらは、今回のIRでそのまま証明される形となりました。
まとめ
今回の決算は、単なる減益決算ではありませんでした。
そして前回の記事で評価した「構造転換途中の決算」という見方は、今回のIRによって裏付けられました。
決算を見るときに重要なのは、表面の数字ではなく、事業の中身と会社の動きを見ることだと改めて感じています。
本記事は投資判断を推奨するものではありません。
最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
