【長野計器(7715)】半導体・データセンター向け需要急回復で営業利益51.6%増!通期予想は据え置き
長野計器(7715)は2026年8月12日に、2027年3月期第1四半期決算を発表しました。
売上高は前年同期比12.6%増の178億83百万円、営業利益は同51.6%増の20億42百万円となり、増収増益を達成しました。経常利益も64.3%増、親会社株主に帰属する四半期純利益も41.2%増と、利益面の伸びが目立つ決算となっています。
今回の決算で特に注目したいのは、半導体業界向けの設備投資需要が急激に回復したことです。決算短信によると、在庫調整局面が続くと予想されていた半導体業界で設備投資需要が上向き、半導体業界向けの売上が増加しました。さらに、データセンター建設需要の増加を背景に、圧力センサの半導体業界向け売上も大幅に増加しています。
一方で、通期業績予想は据え置きとなっています。2027年3月期は売上高675億円、営業利益68億円、経常利益64億円、純利益43億円を予想しており、今回の決算で業績予想の修正はありませんでした。
この記事では、長野計器の2027年3月期第1四半期決算について、業績の概要や営業利益が51.6%増加した理由、半導体・データセンター向け需要の動向、セグメント別の業績、通期業績予想を据え置いたポイント、今後の注目点を決算短信に沿って解説します。

半導体向け需要急回復で営業利益51.6%増!2027年3月期第1四半期決算を解説
長野計器の2027年3月期第1四半期決算は、売上高12.6%増、営業利益51.6%増となる増収増益でした。
特に注目したいのは、売上高の増加率を営業利益の伸び率が大きく上回ったことです。売上高は178億83百万円、営業利益は20億42百万円となり、営業利益率も前年同期の約8.5%から約11.4%へ改善しています。
業績概要
| 項目 | 2027年3月期第1四半期 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 178億83百万円 | +12.6% |
| 営業利益 | 20億42百万円 | +51.6% |
| 経常利益 | 21億41百万円 | +64.3% |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 14億78百万円 | +41.2% |
売上高は前年同期の158億79百万円から178億83百万円へ増加しました。営業利益も13億46百万円から20億42百万円へ増加し、本業の利益が大きく改善したことが今回の決算のポイントです。
経常利益は21億41百万円と前年同期比64.3%増となりました。受取配当金や持分法による投資利益などの営業外収益も増加しており、営業利益に加えて営業外損益も経常利益を押し上げています。
親会社株主に帰属する四半期純利益は14億78百万円となり、前年同期比41.2%増加しました。売上高だけでなく、営業利益・経常利益・純利益がそろって増加した点からも、今回の決算は利益面で強い内容だったといえます。
半導体業界向けの設備投資需要が急回復
今回の増収増益を理解するうえで、最も重要なのが半導体業界向け需要の回復です。
決算短信によると、米国では旺盛なAI需要を背景に製造業の生産活動が活発となり、企業の設備投資も底堅く推移しました。また、日本でもデータセンターの建設や半導体関連の投資拡大を受け、製造業の景況感が改善しています。
こうした環境のなか、長野計器では、当面は在庫調整局面が続くと予想していた半導体業界の設備投資需要が急激に上向いたことで、半導体業界向けの売上が増加しました。
さらに圧力センサについては、データセンター建設需要の増加などを背景として、半導体業界向けの売上が大幅な増加となっています。今回の決算では、この半導体関連需要の急回復が重要な業績押し上げ要因となりました。
つまり、今回の決算は単純に全体の販売が増えたというより、半導体業界の設備投資回復が想定以上に進み、それが長野計器の売上増加につながった点が重要です。
圧力計・圧力センサを中心に増収増益
セグメント別に見ると、主要な圧力計事業と圧力センサ事業がともに増収増益となりました。
| セグメント | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 圧力計 | 94億20百万円 | +13.7% | 7億70百万円 | +33.2% |
| 圧力センサ | 54億56百万円 | +10.9% | 10億43百万円 | +52.3% |
| 計測制御機器 | 11億7百万円 | +30.0% | 1億42百万円 | +1,420.5% |
| ダイカスト | 14億31百万円 | +7.4% | 46百万円 | +1.6% |
圧力計事業は、国内のプロセス業界向け保守・メンテナンス需要が増加したほか、産業機械、FA空圧機器、半導体業界向けの売上も増加しました。その結果、売上高は94億20百万円、営業利益は7億70百万円となっています。
圧力センサ事業も、国内のプロセス・新エネルギー、空調管材、建設機械搭載用センサなどの売上が増加しました。特に半導体業界向けが大幅に増加したことで、売上高は54億56百万円、営業利益は10億43百万円となり、営業利益は前年同期比52.3%増となっています。
また、計測制御機器事業では、自動車・電子部品関連業界向けのエアリークテスタが増加し、売上高は30.0%増、営業利益は1億42百万円となりました。営業利益の増加率は1,420.5%と非常に大きいものの、利益額では圧力計・圧力センサのほうが大きく、全社の営業利益20億42百万円を支えた中心は圧力計・圧力センサ事業と見ることができます。
このように今回の第1四半期は、半導体業界向け需要の急回復を背景に主要事業がそろって増収となり、利益率も改善したことが大きなポイントです。
半導体・データセンター向け売上が増加!増益を支えた要因を分析
長野計器の第1四半期は、半導体業界向けの設備投資需要が急回復したことで、圧力計や圧力センサを中心に売上が伸びました。特にデータセンター建設需要の増加を背景とした半導体業界向け圧力センサの大幅な売上増加が、今回の決算を読み解くうえで重要なポイントです。
圧力計は半導体・産業機械向けが増加
圧力計事業の売上高は94億20百万円となり、前年同期比13.7%増加しました。営業利益も7億70百万円となり、同33.2%増となっています。
国内ではプロセス業界向けの保守・メンテナンス需要が増加したほか、産業機械、FA空圧機器、半導体業界向けの売上も増加しました。米国子会社でも産業機械業界向けの売上が増加しており、国内外で販売が伸びています。
売上高の増加率を営業利益の伸び率が上回っていることから、圧力計事業は増収だけでなく、利益面でも改善が進んだことが分かります。
圧力センサはデータセンター需要を背景に大幅増収
今回の決算で最も注目したいのが、圧力センサ事業です。
圧力センサ事業の売上高は54億56百万円となり、前年同期比10.9%増加しました。営業利益は10億43百万円となり、前年同期比52.3%増と売上高を大きく上回る伸びとなっています。
国内ではプロセス・新エネルギー向け、空調管材向け、建設機械搭載用センサの売上が増加しました。さらに、在庫調整による需要停滞が予想されていた半導体業界向けの売上も大幅に増加しています。
決算短信では、その背景としてデータセンターの建設需要の増加などを挙げています。半導体関連投資の回復に加え、データセンター建設という需要が重なったことで、圧力センサの販売が想定以上に伸びた形です。
今回の決算では、ここが非常に重要です。単に「半導体向けが増えた」のではなく、当初は需要停滞を予想していた半導体業界向け売上が大幅に増加したため、会社の想定を上回る需要回復が起きていることが分かります。
計測制御機器も大幅増益
計測制御機器事業も好調でした。
売上高は11億7百万円となり、前年同期比30.0%増加しています。営業利益は1億42百万円となり、前年同期比1,420.5%増となりました。
増収の主因は、自動車・電子部品関連業界向けのエアリークテスタの売上増加です。一方、空気圧機器の売上は前年同期並みでした。
営業利益の増加率は非常に大きく見えますが、前年同期の営業利益が1,000万円未満だったため、伸び率が大きくなっています。したがって、1,420.5%増という数字だけで全社業績への影響を判断するのではなく、利益額も合わせて見ることが重要です。
ダイカスト事業も増収を確保
ダイカスト事業では、自動車生産台数の回復を背景に売上高が14億31百万円となり、前年同期比7.4%増加しました。
一方、営業利益は46百万円で、前年同期比1.6%増にとどまっています。
そのため、今回の全社営業利益51.6%増を支えた主因はダイカスト事業ではなく、圧力計と圧力センサを中心とした増収増益と考えるのが適切です。
営業利益の伸びが売上高を大きく上回った
ここまでを見ると、今回の長野計器は単純な売上増加だけでなく、利益の伸びがより大きかったことが分かります。
全社売上高は前年同期比12.6%増でしたが、営業利益は51.6%増となりました。売上総利益も前年同期の48億66百万円から60億21百万円へ増加しており、売上高の増加に対して利益をより大きく確保できています。
特に圧力センサ事業では、売上高10.9%増に対して営業利益52.3%増となっており、半導体・データセンター関連を含む需要の増加が利益面にも強く寄与したと考えられます。
今回の決算をまとめると、半導体業界の設備投資需要が想定以上に回復し、データセンター建設需要も追い風となったことで、圧力計・圧力センサの販売が増加したことが増益の中心でした。
通期業績予想は据え置き!営業利益68億円の達成に向けた注目点
長野計器の第1四半期は営業利益51.6%増と好調なスタートを切りましたが、会社は2027年3月期の通期業績予想を据え置きました。
半導体業界向けの設備投資需要が想定以上に回復していることはポジティブですが、会社は経済環境の先行きについて不透明感が残っているとしています。そのため、今回の決算だけで通期業績予想の上方修正には踏み込まず、今後の需要動向を見極める姿勢を取っています。
通期業績予想は変更なし
2027年3月期の通期業績予想は、売上高675億円、営業利益68億円、経常利益64億円、親会社株主に帰属する当期純利益43億円で、5月13日に公表した予想から変更されていません。
| 項目 | 2027年3月期通期予想 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 675億円 | ▲0.3% |
| 営業利益 | 68億円 | ▲2.6% |
| 経常利益 | 64億円 | ▲6.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 43億円 | ▲20.3% |
| 1株当たり当期純利益 | 227.60円 | ― |
第1四半期だけを見ると、売上高は前年同期比12.6%増、営業利益は51.6%増と非常に強い内容でした。一方、通期予想は前期比で減収減益を見込んでいます。
そのため、今回の決算では「通期予想が弱い」というより、第1四半期の好調がどこまで継続するのかを会社側が慎重に見ていると捉えるのが適切でしょう。
第1四半期の営業利益進捗率は約30%
第1四半期の営業利益は20億42百万円、通期営業利益予想は68億円です。
単純計算すると、通期予想に対する第1四半期の営業利益進捗率は約30.0%となります。
さらに、第2四半期累計の営業利益予想は32億円です。第1四半期だけで20億42百万円を確保しているため、上期予想に対する進捗率は約63.8%です。
数字だけを見れば、かなり順調な進捗です。
ただし、ここで注意したいのは、第1四半期の好調をそのまま通期業績に当てはめることはできないという点です。
会社は、半導体業界の設備投資需要が急激に上向いたことを増収要因として挙げていますが、経済環境については依然として先行きが不透明としています。したがって、今後も半導体関連の需要が同じペースで続くかどうかが、通期業績を左右する重要なポイントになります。
半導体業界向け需要の回復が続くか
今後の最大の注目点は、半導体業界向け設備投資の回復が一時的なものなのか、継続的なものなのかです。
今回の決算短信では、当初は在庫調整局面が続くと予想していた半導体業界の設備投資需要が急激に上向いたと説明されています。さらに、データセンター建設需要の増加を背景に、半導体業界向けの圧力センサ売上も大幅に増加しました。
これは長野計器にとって明確なプラス材料です。
一方で、会社が通期予想を変更していないことを考えると、現時点ではこの需要回復を年間を通じた業績上振れ要因として織り込んでいないと見ることができます。
次回以降の決算では、半導体業界向けの売上増加が続いているか、特に圧力センサ事業の成長が維持されているかを確認したいところです。
年間配当60円予想は据え置き
株主還元については、2027年3月期の年間配当を60円とする予想が維持されています。
中間配当30円、期末配当30円の予定で、前期の年間52円からは8円の増配となる見込みです。今回の決算短信では、直近の配当予想からの修正はありません。
第1四半期の業績が好調だったことを考えると、今後の業績上振れが実現した場合には、配当面への影響も注目されます。ただし、現時点では年間60円という会社予想を基準に判断するのが適切です。
今後は第2四半期以降の業績が重要
今回の長野計器は、半導体業界向け需要の急回復によって営業利益が51.6%増加する好スタートとなりました。
一方で、通期業績予想は据え置かれており、会社は先行きについて慎重な見方を維持しています。したがって、今後は第2四半期以降も半導体業界向けの設備投資需要が続くかどうかが重要です。
特に確認したいのは、圧力センサの半導体業界向け売上が引き続き増加するかという点です。今回、この分野が大きく伸びたことで圧力センサ事業の営業利益は52.3%増加しているため、次回決算でも同様の成長が続けば、通期業績予想に対する上振れ期待が高まりやすくなります。
現時点では通期予想の変更はありませんが、第1四半期の進捗は営業利益で約30%と順調です。今後、半導体・データセンター関連の需要が継続すれば、会社予想との差が縮まり、業績予想の修正につながる可能性もあります。
そのため、今回の決算は「通期予想据え置き」という点だけを見るのではなく、想定以上に回復した半導体需要が第2四半期以降も続くかを確認する決算として見ることが重要です。
まとめ
長野計器(7715)の2027年3月期第1四半期決算は、売上高12.6%増、営業利益51.6%増となる増収増益でした。売上高は178億83百万円、営業利益は20億42百万円となり、売上高の伸びを大きく上回って営業利益が増加しています。
今回の決算で特に注目したいのは、半導体業界向けの設備投資需要が急激に回復したことです。当初は在庫調整局面が続くと予想されていたものの、半導体業界向けの売上が増加しました。さらに、データセンター建設需要の増加を背景に、圧力センサの半導体業界向け売上も大幅に増加しています。
セグメント別では、圧力計事業の営業利益が前年同期比33.2%増、圧力センサ事業が同52.3%増となりました。特に圧力センサ事業の増益が今回の業績を支える重要なポイントです。計測制御機器事業も営業利益が前年同期比1,420.5%増と大幅に伸びています。
一方で、会社は2027年3月期の通期業績予想を変更していません。通期では売上高675億円、営業利益68億円、経常利益64億円、純利益43億円を見込んでいます。第1四半期の営業利益進捗率は約30%と順調ですが、会社は経済環境の先行きについて不透明感が残るとしており、現時点では慎重な見通しを維持しています。
したがって、今回の長野計器の決算は、「半導体・データセンター向け需要の回復によって大幅増益となった好決算」と評価できます。ただし、今後の業績を判断するうえでは、この需要回復が第2四半期以降も継続するかが重要です。
次回以降は、半導体業界向けの設備投資需要、データセンター関連需要、圧力センサ事業の売上推移、通期営業利益68億円に対する進捗を確認したいところです。
また、2027年3月期の年間配当は60円予想とされており、前期の52円から増配となる見込みです。業績の上振れが実現した場合には、今後の株主還元にも注目したいところです。
今回の決算では、「営業利益51.6%増」という数字だけでなく、その背景にある半導体需要の急回復を確認することが重要です。通期予想は据え置かれていますが、第1四半期の好調が続けば業績見通しが変化する可能性もあるため、次回決算での需要動向が長野計器の今後を判断するうえで重要なポイントになるでしょう。
関連記事

本記事は投資判断を推奨するものではありません。
最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
