【日本タングステン(6998)】原材料コスト抑制と電機部品好調で営業利益207%増!中間業績予想を上方修正、株価急騰
日本タングステン(6998)は2026年8月5日に、2027年3月期第1四半期決算を発表しました。
今回の決算は、売上高が前年同期比34.0%増、営業利益が同207.5%増となる大幅な増収増益でした。特に、電機部品事業の好調に加えて、原材料価格が上昇する前に確保していた原材料を使用したことで売上原価を抑えられたことが、利益を大きく押し上げています。
さらに、今回の決算では第1四半期の好調な業績を受けて、第2四半期累計の業績予想を上方修正し、中間配当予想も30円から60円へ引き上げました。一方で、原材料価格の先行きが見通しにくいことから、通期業績予想は据え置いています。
この記事では、日本タングステンの2027年3月期第1四半期決算について、営業利益が207%増となった理由、中間業績予想を上方修正した背景、配当予想の増額、そして通期業績を見るうえでの注目ポイントを決算短信の内容から詳しく解説します。
営業利益207%増!2027年3月期第1四半期決算を解説
日本タングステンの2027年3月期第1四半期は、売上高・営業利益・経常利益・純利益のすべてが大幅に増加する好決算となりました。
なかでも営業利益は前年同期の2億500万円から6億3,200万円へ増加し、前年同期比207.5%増と3倍を超える水準まで拡大しています。売上高の増加だけでなく、原材料コストを抑えられたことも利益を押し上げました。
業績概要
| 項目 | 2027年3月期第1四半期 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 42億円 | +34.0% |
| 営業利益 | 6億3,200万円 | +207.5% |
| 経常利益 | 7億9,400万円 | +195.4% |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 5億5,600万円 | +207.0% |
売上高は前年同期の31億3,400万円から42億円へ増加しました。営業利益は2億500万円から6億3,200万円、経常利益は2億6,800万円から7億9,400万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は1億8,100万円から5億5,600万円へ、それぞれ大きく増加しています。
営業利益率も前年同期の約6.5%から約15.0%まで上昇しており、売上規模の拡大だけでなく、利益を生み出す力も大きく改善したことが分かります。
今回の決算で特に重要なのは、「売上が増えたから営業利益も増えた」という単純な増収効果だけではないことです。決算短信では、原材料価格が高騰する前に確保していた原材料を使用したことで売上原価が抑えられ、売上総利益が大幅に増加したと説明しています。
電機部品事業が大幅増収増益
セグメント別では、特に電機部品事業の伸びが目立ちました。
| セグメント | 売上高 | セグメント利益 |
|---|---|---|
| 機械部品事業 | 19億8,000万円 | 2億6,000万円 |
| 電機部品事業 | 22億1,900万円 | 5億2,700万円 |
電機部品事業は売上高が前年同期比で大きく増加し、セグメント利益も前年同期から大幅に伸長しました。決算短信では、関連する市場での需要増加に加え、原材料価格に応じた商品価格の改定などが増収増益に寄与したと説明しています。
一方、機械部品事業も売上高・利益ともに前年同期を上回っており、特定の一部門だけではなく、全体として業績が改善している点も今回の決算の特徴です。
中間業績予想と配当予想を上方修正
今回の決算では、第1四半期の業績が好調だったことを受け、2027年3月期第2四半期累計の業績予想も上方修正しています。
| 項目 | 第2四半期累計予想 |
|---|---|
| 売上高 | 86億円 |
| 営業利益 | 15億円 |
| 経常利益 | 17億2,000万円 |
| 親会社株主に帰属する純利益 | 12億3,000万円 |
| 1株当たり純利益 | 253.23円 |
第2四半期累計では、売上高86億円、営業利益15億円を見込んでおり、営業利益は前年同期比404.2%増という非常に高い伸びを想定しています。
さらに、中間配当予想は従来の1株30円から60円へ引き上げられました。期末配当予想は30円で据え置かれているため、年間配当予想は90円となります。
今回の決算短信で押さえておきたいポイントは、第1四半期の大幅増益だけではなく、中間業績予想と中間配当予想まで上方修正されたことです。
ただし、通期業績予想については別の見方が必要です。会社は通期の売上高を150億円、営業利益を7億3,000万円とする従来予想を据え置いています。中国の輸出規制強化に伴う原材料価格の動向が見通しにくく、現時点では通期の収益性を合理的に見積もることが難しいためです。
つまり今回の決算は、足元の業績は非常に強く、中間期についても上方修正した一方、原材料価格の不透明感から通期については慎重な見方を維持している決算といえます。ここが、今回の日本タングステンの決算を読み解くうえで重要なポイントです。
なぜ営業利益207%増?原材料コスト抑制と電機部品事業の好調が利益を押し上げ
日本タングステンの2027年3月期第1四半期で営業利益が207.5%増となった最大のポイントは、売上高の増加に加えて、原材料コストを抑えられたことです。
売上高は前年同期比34.0%増の42億円となりました。さらに、原材料価格が急騰する前に確保していた原材料を使用したことで売上原価が抑えられ、売上総利益が大幅に増加しました。その結果、営業利益は前年同期の2億500万円から6億3,200万円へ拡大しています。
つまり今回の大幅増益は、「売上が増えた」ことと「原材料コストを抑えられた」ことが重なった結果と見ることができます。
半導体・電子部品市場などの需要が増加
まず、売上高が34.0%増加した背景には、複数のターゲット市場で需要が伸びたことがあります。
決算短信によると、半導体・電子部品市場は半導体市場の活況を受けて好調に推移しました。また、自動車部品市場も需要増に対する供給対応などにより好調となっています。衛生用品機器・医療用部品市場についても、新規案件の獲得や需要増加などを背景に堅調でした。
特に電機部品事業では、需要増加に加えて原材料価格に応じた商品価格の改定も実施されており、前年同期を大幅に上回る水準で推移しました。
一方、機械部品事業は需要増に対応したものの、一部で需要の後ろ倒しがあり、伸び悩みました。したがって、今回の増収を考えるうえでは、電機部品事業の伸びが特に重要だったといえます。
電機部品事業が大幅増益
実際にセグメント別の数字を見ると、その違いがはっきりします。
| セグメント | 売上高 | セグメント利益 |
|---|---|---|
| 機械部品事業 | 19億8,000万円 | 2億6,000万円 |
| 電機部品事業 | 22億1,900万円 | 5億2,700万円 |
| 合計 | 42億円 | 7億8,700万円 |
電機部品事業は売上高22億1,900万円、セグメント利益5億2,700万円となりました。全社の営業利益は6億3,200万円なので、電機部品事業が利益面で大きく貢献していることが分かります。
前年同期と比較すると、電機部品事業の売上高は14億3,600万円から22億1,900万円へ増加し、セグメント利益は1億5,900万円から5億2,700万円へ大きく伸びています。
さらに決算短信では、電機部品事業について、需要増加だけでなく原材料価格に応じた商品価格の改定が増収に寄与したと説明しています。原材料価格の上昇を販売価格へ反映できたことも、収益改善を支える要因になりました。
原材料価格高騰前に確保した材料が利益率を押し上げた
今回の決算を理解するうえで、最も重要なのが原材料コストです。
日本タングステンは、原材料価格が急騰する以前に確保していた原材料を使用したことで、売上原価を抑えることができました。売上高が増加しただけでなく、売上原価の抑制によって売上総利益が大幅に増加したため、営業利益の伸びが売上高の伸びを大きく上回っています。
実際、売上高は31億3,400万円から42億円へ増加した一方、売上総利益は7億8,500万円から13億3,100万円へ増加しています。営業利益も2億500万円から6億3,200万円へ拡大しました。
この数字からも、今回の利益成長は単なる増収効果だけではなく、原材料コストを抑えられたことによる利益率の改善が大きかったことが分かります。
スクラップ価格上昇も経常利益を押し上げ
営業利益よりさらに大きく増えたのが経常利益です。
経常利益は前年同期比195.4%増の7億9,400万円となりました。営業利益の増加に加えて、スクラップ価格の上昇による売却益の増加などが営業外収益を押し上げています。スクラップ売却益は前年同期の1,700万円から7,300万円へ増加しました。
そのため、今回の決算は、
需要増加による売上拡大 → 電機部品事業の増収増益 → 原材料コスト抑制による売上総利益の増加 → 営業利益207%増
という流れで捉えると分かりやすいでしょう。
ただし、この利益構造がそのまま今後も続くとは限りません。会社は今後について、高騰した原材料を使用することで売上原価が上昇する可能性があるほか、原材料価格の高騰が続いた場合には調達そのものが難しくなる可能性があると説明しています。
したがって、今回の好決算を評価する一方で、次の焦点は「原材料価格が上昇する環境でも利益率を維持できるか」に移ります。ここが、第3部で見る中間業績予想の上方修正と通期業績予想据え置きを考えるうえでも重要なポイントです。
中間業績予想を上方修正!今後は原材料価格と通期業績に注目
日本タングステンは今回の第1四半期決算で大幅な増収増益を達成しただけでなく、2027年3月期第2四半期累計の業績予想を上方修正しました。さらに、中間配当予想も30円から60円へ引き上げています。
一方で、通期業績予想については据え置きです。第1四半期の実績だけを見ると非常に強い内容ですが、会社は今後の原材料価格や調達環境に不確実性が残っていることから、通期については慎重な見方を維持しています。
中間業績予想を上方修正
今回の第1四半期業績は、会社が従来想定していた第2四半期累計および通期の業績予想を上回るペースで進みました。
そのため、直近の業績や受注動向を踏まえて、第2四半期累計の業績予想を見直しています。
| 項目 | 2027年3月期第2四半期累計予想 |
|---|---|
| 売上高 | 86億円 |
| 営業利益 | 15億円 |
| 経常利益 | 17億2,000万円 |
| 親会社株主に帰属する純利益 | 12億3,000万円 |
| 1株当たり純利益 | 253.23円 |
第2四半期累計では、営業利益15億円、経常利益17億2,000万円、純利益12億3,000万円を見込んでいます。
今回の上方修正は、単に第1四半期の数字が良かったからというだけではありません。会社は直近の業績と受注動向を踏まえて予想を修正したと説明しています。つまり、足元の受注環境については、少なくとも中間期までは従来の想定を上回る状況にあると考えられます。
中間配当を30円から60円へ増額
今回の決算では、業績予想の上方修正とあわせて中間配当予想も増額しています。
従来の中間配当予想は1株30円でしたが、今回60円へ引き上げました。期末配当予想は30円で据え置いているため、年間配当予想は1株90円となります。
大幅な増益に加えて配当予想も引き上げられたことから、今回の決算は株主還元の面でもポジティブな内容です。
通期業績予想は据え置き
ただし、ここで注意したいのが通期業績予想は上方修正されていないことです。
会社は通期業績について、売上高150億円、営業利益7億3,000万円などの従来予想を据え置いています。
背景にあるのが、中国の輸出規制強化に伴う原材料価格の不透明感です。
会社は、原材料価格の動向が見通しにくく、今後の収益性を判断することが難しい状況にあるため、現時点では通期予想を据え置くと説明しています。原材料価格の動向を確認し、合理的な業績予測が可能になった段階で速やかに開示するとしています。
つまり今回の決算は、「中間期までは好調だが、通期については原材料価格を慎重に見ている」という会社の姿勢が表れています。
原材料価格と調達環境が今後の業績を左右
今後の業績を見るうえで最大のポイントになるのが、原材料の調達環境です。
会社は、タングステン材料について中国以外からの調達を進め、生産を継続するための調達安定化に取り組んでいます。さらに、調達先の多様化やリサイクル資源の使用率向上、省タングステン技術の開発などにも取り組んでいます。
一方で、会社は今後について、高騰した原材料を使用することで売上原価が上昇する可能性を示しています。原材料価格の高騰が続けば、調達そのものが困難になる可能性もあり、先行きは不確実性が高いとしています。
今回の第1四半期では、価格高騰前に確保していた原材料を使用できたことが利益率の改善につながりました。しかし、今後はその効果が薄れる可能性があります。そのため、次回以降の決算では売上高の伸びだけでなく、原材料価格の上昇をどこまで販売価格へ転嫁できるか、そして利益率を維持できるかが重要になります。
日本タングステンは今回、営業利益207%増という非常に強い第1四半期決算を発表し、中間業績予想と中間配当予想も引き上げました。ただし、通期予想は据え置いており、今後の業績については原材料価格と調達環境を慎重に見ています。
したがって、今後の注目ポイントは、好調な受注を維持できるか、原材料コストの上昇を吸収できるか、そして通期業績予想を上方修正できる状況になるかの3点です。特に原材料価格の動向は、今回の大幅増益が一時的な利益率改善にとどまるのか、それとも今後も高い収益性を維持できるのかを左右する重要な材料になるでしょう。
まとめ
日本タングステンの2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比34.0%増、営業利益が同207.5%増となる大幅な増収増益でした。半導体・電子部品市場や自動車部品市場などが好調に推移したことに加え、電機部品事業の需要増加や商品価格の改定が売上高を押し上げています。
特に営業利益が大きく伸びた理由として、原材料価格が急騰する前に確保していた原材料を使用したことで売上原価を抑えられたことが挙げられます。売上高の増加と原材料コストの抑制が重なり、売上総利益が大幅に増加した結果、営業利益は6億3,200万円まで拡大しました。
また、電機部品事業では売上高22億1,900万円、セグメント利益5億2,700万円となり、全社の利益成長を大きく支えました。
さらに、今回の決算では中間業績予想を上方修正し、中間配当予想を30円から60円へ増額しています。一方で、通期業績予想については、中国の輸出規制強化に伴う原材料価格の先行きが不透明であることから据え置きました。
今後は、今回の好調な受注環境が続くかに加えて、原材料価格の上昇をどこまで吸収できるかが重要になります。会社自身も、高騰した原材料の使用によって今後は売上原価が上昇する可能性や、原材料の調達が困難になるリスクを示しています。
今回の決算は、足元の業績だけを見れば非常に強い内容です。ただし、中間期は上方修正、通期は据え置きという会社の判断からも、今後の利益成長には原材料価格と調達環境が大きく影響すると考えられます。
次回以降の決算では、売上高や営業利益の伸びだけでなく、原材料コストの上昇後も利益率を維持できているか、通期業績予想を上方修正できる環境になったかを確認することが重要でしょう。
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